昨年8月に中国・天津で起きた、化学薬品倉庫の爆発事故を報道したNHKのドキュメンタリー「天津爆発事故 中国社会の深い闇」(2015年9月15日放送、クローズアップ現代)が、中国当局に全面的に規制されていることが分かった。Youtube(中国国内からはアクセスできない)に投稿された同映像を、当局のネット封鎖を突破して閲覧した中国のネットユーザーからは、「中国の真実を知るには日本のメディアが頼りになる」などのコメントが寄せられている。
同ドキュメンタリーは、被害を受けた周辺住民や各方面の関係者への取材などを通して、事故を誘発した当局のずさんな危険物管理の実態、事故発生後の厳しい情報統制、伏せられている事故の真相、被害を受けた日系企業の苦境など数々の「中国社会の深い闇」を追跡して報道した。
一部の情報によると、中国のインターネットにユーザーが自作した同ドキュメンタリーの中国語字幕版がアップされて大きな反響をよんだが、中国共産党中央宣伝部は全面的に禁止するという内部通達を出し、映像の削除に躍起している。
Youtubeの映像に寄せられた一部のユーザーコメントを拾った。
「このドキュメンタリーを制作した日本人に礼を言う。中国人なのに日本のメディアを通して中国の真実を知るという現実に、言い知れぬ悲しみと無念さを覚える」
「やっとこの映像にたどり着いた……国内では徹底的に封じ込められている!」
「わが共産党政府が反日運動を起こした理由が、今になってやっと分かった」
「わが共産党メディアより、日本の報道がよっぽど事実を伝えている」
(記者・文書帆、翻訳編集・叶子)