中国江蘇省の有名な中高一貫進学校である常州外国語学校で、約650人の生徒が健康異常を訴えている。専門家は学校付近の化学製品工場3社からでた汚染物質との関連性を指摘しているが、常州政府と地元メディアは生徒の保護者の抗議及び他のメディアの報道に対して、汚染なしと否認している。
4月17日中国中央テレビの報道によると、去年9月に常州外国語学校が新校舎に移転したところ、約650人の生徒が健康異常を相次いで訴えた。病院で健康診断を受けた結果、計493人に皮膚炎や湿疹、気管支炎、血液指標の異常、白血球の減少など様々な症状が見つかり、リンパ腫や白血病などの悪性疾病と診断された生徒もいったという。
保護者は、学校付近の化学製品工場が原因である可能性を指摘。元作業員によると、工場では度々有毒廃水を直接工場の外に流したり、危険な廃棄物をこっそり地下に埋めたりしていたという。
現地の環境アセスメント報告によると、工場跡地の土壌や地下水にはいずれも汚染物質と重金属が含まれており、中でも「クロロベンゼン」という汚染物質が最も多く含まれていることが明らかとなった。地下水と土壌の中のクロロベンゼンの濃度は規準値の9万4799から7万8899倍に達している。
この新校舎の基礎工事はこの環境アセスメント報告の了承確認以前に開始されており、政府部門が監督を怠った可能性がある。また生徒たちが新校舎に移った時にはまだ北側の汚染土壌の処理作業が終わっていなかったという。
保護者達は昨年末から、地元の政府部門に陳情し問題の解決を求めているが、常州政府からは「汚染なし」「異常なし」と問題の存在を否定されている。
また市当局はこれらの現地の保護者と生徒の抗議に対して警察を出動させて鎮圧する一方で、対外的には情報封鎖を行っており、またネット上で現地情報が発信されてもすぐに削除されているという。
こうした一連の状況に対して、現地住民や保護者からは以下のような怒りの声が上がっている。
「あの土地は元々外国人に売却する予定だったが、買い手が土壌汚染に気付き購入を断った。学校側はそんな事情を全く知らされないまま、政府にその土地を強制的に割り当てられた」
「政府は問題が大きくなって自分たちの責任が追及されるのを恐れて、体調不良の生徒が地元の病院にかかるのを禁止したり、転学を制限したりしている。そのうえ公務員の保護者には子供を転学させるなら職場をクビにすると脅かしたりして、人の命を何とも思っていない!」
(翻訳編集・山本アキ/単馨)