軍の支配権を政敵の江沢民派から取り戻したとみられる中国の習近平国家主席は、同派への包囲網を縮小させている。江派の本拠地といわれている上海市に関して、江沢民元国家主席の側近で、同市トップの韓正・党委書記と、楊雄・市長が近いうちに更迭されるとの報道が相次いでいる。
香港の政論誌「動向」5月号は同市消息筋からの情報として、韓正氏(62)は2017年末の第19回党大会をもって政界から引退するという意向の文書を最高指導部に提出したこと、楊雄氏(63)は近いうち定年を理由に退くことを報じた。
米国を拠点にする中国問題専門の華字ニュースサイト「博聞新聞網」は、韓氏は近いうちに中央行政機関の国務院に左遷させられると報じた。
事実なら、長年同市政府の5つの最主要ポストを占めてきた江沢民氏の腹心が全員外されることになる。2012年の政権発足後、習近平国家主席はすでに自陣営の人員をほかの3つのポストに入れ替えていた。上海市在住の人権派弁護士の鄭恩寵氏は当時大紀元本部の取材に対し、「江沢民の上海閥はもう事実上再起不能だ」と指摘していた。
大紀元本部が入手した情報では、習近平政権下で腐敗撲滅運動を率いている中国共産党中央規律検査委員会のトップである王岐山・書記は内部会議で「2016年の汚職調査の重点は上海市」と指示したという。
江氏一族の政治・経済利益の拠点とされる上海市の今後の動きに目が離せない。米コロンビア大学の政治学博士、中国問題専門家の李天笑氏は「江沢民一族が取り締りを受けるのは時間の問題」とみている。
(翻訳編集・叶子)