香港メディアによると、中国共産党政治局は、中紀委書記王岐山氏が提出した毛沢東紀念堂の移転計画を通過させたことが明らかになった。また習近平国家主席は会議後に「来期の就任中でも必ず決着をつける」と、移設に固い意志があることも述べたという。
香港の雑誌『争鳴』2016年8月号で、紀念堂を毛沢東の生誕地である湖南省韶山市へ移転する計画が、政治局の新たな議事日程に含まれていたことが明らかになった。
この移転案は6月下旬の中国政治局の会議で通過した。25人の政治局委員のうち23人が賛成、2人が棄権、反対者ゼロで承認された。発起人は中共中央規律検査委員会書記(中紀委書記)の王岐山氏で、中共中央委員会組織部(中組部長)の趙楽際氏、中共国務院副総理の劉延東氏が連署した。
移転案の通過後、習近平主席は会議でスピーチし、毛紀念堂の一件はいずれ解決する必要があり、正常でない理由により保留し続けるわけにはいかないと述べた。また習主席は、この件についてはすでにコンセンサスが取れているため、今期中に解決に至らなかった場合は、来期の就任中で必ず決着をつけるとも語っている。
毛沢東紀念堂を移転する提案が何度もあった
今年の両会(全国人民代表大会と中国人民政治協商会議)の直前、中国電子科学技術大学前教授で、現在はカナダ在住の著名な政治評論家、周櫟楓氏は公の文書で、中共人民代表大会と政協委の一部の代表、委員が連名で、毛紀念堂を天安門広場から移転させる要求を提出したと、公表している。
また香港メディアは、15年末までに、中共人民代表大会では人大代表21人分、政協では政教委員32人分の連署を集め、天安門広場から毛沢東紀念堂を撤去する要求を出していたと報じている。
これまで毛沢東紀念堂を移転する提案が何度もあったが、共産党元指導者に対する評価という複雑で微妙な問題であるため、解決は先延ばしされてきた。
毛沢東紀念堂は、1977年に天安門広場に建設され、中には防腐処理を施された中共初代主席毛沢東の遺体が安置、保存されてある。
(翻訳編集・島津彰浩)