北京当局の統計により、2015年に中国のインターネット利用者数が7億人を目前にしたことが明らかになった。この数は米国のネットユーザーの約2倍に相当する。
カーネギー国際平和基金が発行する米国の外交政策研究季刊誌、「フォーリン・ポリシー」7月号には、中国の大手検索エンジン「百度(バイドゥ)」を使い、「なぜ米国は」というキーワードで検索したところ、非常に面白い検索結果が表示されたという記事が掲載されている。中国国内のネットユーザーは、米国や米国人に関する様々な事柄に深い関心を寄せているようだ。
「米国の軍艦が香港に停泊できるのはなぜ?」
1997年にイギリスから中国に返還された香港が、領土問題などで中国としばしば異なる立場に立つ米国の軍艦の寄港を許可していることに興味を抱く中国のネットユーザーは、ことのほか多い。
返還前、米国海軍は香港を乗員の休息や物資補給のための重要な港として位置付けていた。返還後、米中間の協議において米国からの申し出を受けた中国側が、米国軍艦の停泊をその後も認めることに同意した。そのため97年以降も米海軍の寄港は続いており、米中間に何らかの問題が生じた場合を除き、香港側は通常、米軍艦隊の寄港申請を拒否することはできない。
今年4月、南シナ海問題で両国間に緊張が走った時には、米海軍のニミッツ級航空母艦ジョン・C・ステニスが寄港を拒否された。
「なぜ米国人はアン・ハサウェイを毛嫌いしているのか?」
この疑問に対する検索結果によると、ハリウッド女優、アン・ハサウェイに対するバッシング記事が見られるようになったのは2013年ごろ。当時、オスカー受賞を熱望していた彼女が様々な活動に積極的に参加したことに白々しく感じた米国人がソーシャルメディアに彼女を批判する投稿をしたところ、主流のマスコミがこぞって追随したことが原因とみられている。13年5月にはニューヨークタイムズ紙に「我々は本当にアン・ハサウェイを嫌っているのか?」という一文が掲載されたこともある。
「米国が世界で最も偉大な国でないのはなぜか?」
一見したところ、このテーマは世界における米国の地位についての話に思えるが、実は米HBO放送で2012年から放送開始されたテレビドラマ「The Newsroom」のオープニングの1シーンに関係している。
ドラマの中で展開されているトーク番組で、観客から「米国が世界でもっとも偉大な国家である理由は何でしょう?」という質問を受けたゲストらが、自国がいかに素晴らしいかを誇らしげに語っている。そんな中、適当な回答でお茶を濁すつもりだったゲストの1人であるニュースキャスターが、司会者の食い下がりでつい「米国は世界一偉大な国ではない!」という言葉を発して、さらにそれについての自論を展開したというもの。
この1シーンは中国ネットユーザーの議論を巻き起こし、「こうした番組を製作できること自体、米国が偉大な国家であるという証だ」といった、米国の言論の自由を賛美するコメントも見られた。
「なぜ米国は再び月を目指さないのか?」
検索の結果、この疑問に対するいくつかの意見や推測がヒットしたが、その大半は米国が月面探査に再び着手しないのは米露間の宇宙開発競争が終結し、米国の宇宙開発計画が方向転換したからだと結論付けている。だが一部には、そもそもNASAのアポロ月面着陸自体が、軍事的効果を狙ってねつ造されたものだったとの主張もあった。
「なぜ米国は銃の所持を禁止しないのか?」
旅行や仕事、留学などで米国を訪れる中国人は多い。そのため米国が銃の個人所有を認めていることに関心を抱く人も多く、米国内で銃に関連する大事件が起こるたびに、百度では銃の所持に関するトピックが急増する。
「米国人が鯉を食べないのはなぜか?」
アジアから輸入された鯉が野生化して繁殖した結果、米国各地で元の生態系の破壊が進んでいるため、鯉を常食する中国人は、米国人が鯉を食べて個体数を減らせばよいのにと考えている。
あるネットユーザーは、米国人はナイフとフォークばかり使い、箸の使い方に慣れていないので、骨の多い魚をどうやって食べたらいいのか分からないのだろうと述べている。
別のネットユーザーは、もし丸々と太った大量な野生の魚が中国人に発見されてしまったら、しかもそれが汚染されていないきれいな水域で育ったものであるならば、3日もせずにほとんど食べつくされてしまうと自嘲気味に語っている。
「なぜ米国人は豚足を食べないのか?」
中国人は、米国人の食の嗜好性に深い関心を抱いているようだ。あるネットユーザーが、米国人が豚足を食べないのはなぜかという質問を投稿したところ、米国人は豚足だけでなく、豚の頭、魚の頭、鶏の爪、内臓なども食べないと紹介し、その理由を、米国人はこうした食材を不衛生だと感じていること、そして調理法を知らないことが原因だと解説する回答が寄せられた。
(翻訳編集・島津彰浩)