今、北朝鮮の特権階級の亡命が増えている。そんな中、韓国主要紙「中央日報」が5日、9月末に北朝鮮の駐北京代表部の高官2人が日本大使館に政治保護を求めたと報じた。そのうちの1人は保健省の元高官で、最高指導者である金正恩・朝鮮労働党党委員長一族の健康に関する機密情報をもっているとみられる。現時点において、日本政府による公式コメントはない。
中央日報が消息筋の話として伝えたところによると、この2人の高官は先月28日ごろ、あいついで妻子を連れ北京の日本大使館に駆け込んだという。一人の高官は保健省在任中に金正恩氏一族の治療薬や医療設備の仕入れを担当していた。日本に親族がいるとして日本行きを望んでいる。
同報道によると、日中両国の当局は今後の対応を協議し、韓国政府は受け入れの意向を表明したという。一方、韓国メディアの問い合わせに対して、日本外務省は事実関係はないと回答した。
その他にも昨年5月にアフリカ駐在の北朝鮮外交官の一家4人、今年4月に北朝鮮軍の核心部署で金正恩氏が直轄する偵察総局出身の大佐、7月末に駐英北朝鮮大使館のテ・ヨンホ公使が韓国へ亡命しており、いずれも韓国統一省が事実関係を認めた。
これらについて全て軍の要人や、海外での活動を認められた外交官などの金正恩体制を支えてきたエリート層や特権階級が亡命していることから、体制内部で不安定な要素が大きくなっているとの見方が大勢だ。
その一方で、脱北者の強制送還でたびたび国際社会に非難されてきた中国側の対応にも変化の兆しが現れている。今年7月香港で開かれた、国際数学オリンピックに参加した北朝鮮男子生徒が韓国総領事館に亡命申請した後に同国にわたった一件に関して、現場の脱北支援者は、中国当局による協力がなかったらこの亡命はスムーズに実現しなかっただろうと述べている。
(翻訳編集・叶子)