中国全国各地から1万人以上の退役軍人が集まり、11日、北京市中心部にある「八一大楼」(注1)の前で生活の保障と待遇改善を訴え、12日早朝まで抗議を続けた。今年の元軍人による抗議活動としては最大規模のものとなる。元軍人の代表らは軍当局責任者と交渉を試みたが、その結果はまだ不明。
11日早朝に、迷彩色の軍服を着た元軍人たちが続々と「八一大楼」の前に集まった。抗議活動の一部始終を目撃した北京市民、元士官の王さんは大紀元の取材に対して、「八一大楼」周辺は中年の元軍人に埋め尽くされ、その列は2~3キロ続いたと答えた。「デモに参加した元軍人は皆、地方から来た者だ。彼たちは手に横断幕を持ち、軍歌を歌っていた」と王さんは言う。
一方、当局はデモに対して厳戒態勢をしき、武装警察や警察を多数、出動させた。
デモ参加者は「八一大楼」前で丸一日抗議を行った。王さんを含めて多くの北京市民は参加者に水や食べ物を渡して支持を示したという。
デモ参加者と会話を交わしたという王さんは、参加者の多くは退役する前は最前線で活動していた兵士で、各災害救援活動にも陣頭に立って参加した者だが、各地方政府が中央政府の制定した職業再配置政策を着実に実施していないことが原因で生活が苦しい。そのため多くの退役軍人がデモに参加していると語る。
「彼らはきっと生きる術を失い、このように集団でデモを行ったに違いない」と王さんは断言する。「軍に在籍したときに敵を殺す方法しか学ばないから、退役後、何の技術も持たない彼らは社会に適合するのは非常に難しい。政府が彼らの生活を無視するのは、彼らを見殺しにするのに等しい」と述べた。
米国「自由アジア放送」(RFA)によると、約1万人以上もの元軍人がデモに参加したともされており、参加者の代表は11日夜8時に中央軍事委員会の担当者と交渉を行ったが、交渉の結果は不明だという。
昨年9月に中国の習近平国家主席が人民解放軍の30万人削減計画を明らかにした。退役軍人の人数増加で、今後国内で元軍人による大規模なデモ活動が頻発していくとみられる。
(注1)8月1日の人民解放軍創建記念日の名を冠した国防部の施設で中央軍事委員会のオフィスとして建てられた。
(記者・顧暁華、翻訳編集・張哲)