腐敗撲滅ドキュメンタリーから見る習政権の意図

2016/11/08 更新: 2016/11/08

中国国営放送局の中央電視台(CCTV)が17日から連続9日間、高官の汚職実態を収録した長編ドキュメンタリー「永遠に歩み続ける(永遠在路上)」の全篇を放送した。腐敗撲滅運動を主導する共産党規律検査委員会とCCTVが共同制作したものである。

樽ごとの高級酒、ベットの世話を専任する家政婦、数えきれないほどの単価数百万元(1元約15円)の高級宝飾品、小遣いのように受け取る数十万元の賄賂の札束、床面積800平米(約240坪)を超える豪邸、選抜された自宅常駐の料理人チームなど、億万長者も顔負けの生活ぶりが次々と明かされた。

2億元(約30億円)の収賄を認め、執行猶予2年の死刑判決を受けた元雲南省共産党委員会書記の白恩培の自宅捜査では、捜査班が貢がれた数部屋分の宝石類などの高級品を整理するには約2週間を要した。中には時価1500万元(約2億3千万円)のジュエリーもあったという。

涙ながら罪状を「懺悔する」数十人の高官の失墜ぶりに、視聴者が歓声をあげるものの、「日常的な官職の売買」「氾濫する性的腐敗」などのもっと闇な部分に触れていないという声もあがっている。

いずれも汚職などの罪で無期懲役刑を服役している元共産党中央政治局委員の薄熙来、党内序列9位だった周永康、元軍制服組のトップの郭伯雄などの指導部高官が裁判で罪を認める映像もあった。

指導部は地方当局に対し、このドキュメンタリーの視聴を義務付けたとの情報もある。

中国共産党の重要会議「6中全会」の開会1週間前に全国放送された本編は、習近平総書記が就任してから4年間に続けてきた腐敗撲滅運動の成果を強調するためと思われている。中では習氏は「反腐敗の鋭い剣を高く持ち上げる」と檄をとばし、今後も汚職取締りを継続していく意気込みを示した。

 (翻訳編集・叶子)

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