カルチャーショック与える、米中の差を伝える皮肉な文章

2016/11/01 更新: 2016/11/01

アメリカに来て数年が経った。来たことを後悔しているー。このような出だしで始まる文章が最近、中国のネットで話題になっている。中国共産党の思想に基づく見方で米国の普遍的な現象について非難する文章で、読んだ人に、米中の大きな社会差のカルチャーショックを与えている。

作者は、渡米した中国人留学生とされる。拝金主義、唯物主義、伝統破壊、環境への無配慮などが常識となった現代中国社会から見ると、米国は「中国よりはるかに遅れている、皆行くべきではない」と作者は結論づけた。

文章は、極端な例が含まれているので創作である可能性が高いが、詳細は不明。その狙いは、自由と民主主義に基づく米国社会のあり方は、批判好きな現代中国の視点からどのように罵倒するのかという事例を示し、いかに中国社会が滑稽であるかを表している。また、中国では共産党の思想コントロールが厳しく、情報封鎖がいかに強いかを示唆している。

また文章自体は2010年以前に書かれたもの。下記は、その文章の抄訳。


アメリカに来て数年が経った。来たことを後悔している。西洋メディアは私をたぶらかした。米国を一大現代的国家であると印象付けさせたからだ。

私はアメリカの先進的科学技術を学び、祖国の発展に尽力するとの志を抱いて、この「強くて大きな」国に来た。しかし、大いに失望することになった。

1.まるで原始社会? アメリカは未開発の大きな農村

中国では、「工業発展には環境破壊がともなう」と中学校で教えられる。工業都市にはいたるところに黒煙を吐く煙突が経ち、発展の象徴だと教師たちは生徒たちに説く。

しかし、アメリカはどうだろう? そのような煙突は非常に少ない。「煙突」は個人宅の装飾用にある程度だ。清らかな河川や湖の近くに製紙工場や製鉄所は建っていない。空気はすがすがしく、まるで原始社会だ。工業化の影さえ見られない。

2.アメリカ人は経済をわかっていない?

ハイウェイは四方八方に走り、それぞれの街に続いている。しかし、料金所がない。こんな大きなビジネスチャンスが見過ごされている。私は、ところどころに料金所を建ててしまいたい。そうすれば、すぐさま西海岸で別荘を買うことができるだろう。

国道沿いには未開発の美しい湖がある。政府は水鳥を住まわせているだけで、なぜ別荘地やテーマパークを開発して一儲けしないのか。アメリカ人は経済をぜんぜんわかっていない。

3.アメリカの建物は原始的?

いくつかの大都市を除いて、アメリカの都市にはビルがあまりない。米国のいくつかの都市を飛行機から眺めたが、小さな平屋ばかりで(ある人物は別荘だという)、誤って東南アジアの農村に着いたのかと思ったぐらいだ。

アメリカの多くの住宅はコンクリを使わず、木材が使われている。まるで(中国)封建社会の時期のようだ。

 

4.アメリカ人の考え方は数十年遅れ?

私がアメリカの空港に到着したばかりのとき、荷物を運ぶカートを使用するのに3ドル必要だった。小銭を持っておらず、たくさんの荷物を抱えていた私を見て、ある人は代わりに3ドル払い、車の前まで押すのを手伝ってくれた。「助けが必要ならば言ってくれ」とその人は述べた。

このような現象は5、60年代の中国で見られた。中国では、そのような助け合いは「遅れている」と見なされる。あの考えは偽善だ。今の私たちはより近代的だ。つまり、アメリカ人の思想は数十年、中国人よりも遅れている。

5.アメリカ人は野生動物を食べることを知らない?

ある夜、同級生の車に乗ってある都市へ移動する最中のこと。突然、道路へシカが飛び出してきて、危うくぶつかりそうになった。このようなことは頻発するという。聞くところによると、森にはシカばかりでなく、クマやキツネ、野鳥やリスがいるので、アメリカ人の食卓にはこれらの御馳走が並ぶのだろうと思ったが、アメリカ人は野生の動物を食べないという。

粗暴なシカを捕まえて角を切り、売り払ってしまえば大金を儲けることができるのに、アメリカ人は野生動物を保護しているという。根本的に原始社会に近いのではないか。

6.アメリカ人は尊敬の念がない?

大学教授には威厳がなくて、学者特有の風格がない。聞くところによると著名な心理学者だというある教授は、休憩時間には学生たちとビスケットを食べたり、トランプで遊んだりしていた。私はひどく失望した。

地位と身分を誇示する堂々とした風体の教授がいない。誰がこのような人物にへつらうというのか?

アメリカでは、一人の小市民でさえ役人に大胆にも物を言う。中国では、小さな部署の長でさえ米国大統領なみの威風があるのに。

7.アメリカの小学生は偉大な理想がない

米国の小学生たちは、上層の幹部になろうという意思がない。責任ある立場は誰にでも輪番制で回ってくる。宿題はない。あっても、中国の小学生がこなす量とは比べ物にならない。学校は文化や道徳教育を強調しすぎている。一公民となることを優先させた後で、大きな理想を説いている。一公民になる? 古臭い観念だ。

(つづく)

(翻訳編集・佐渡 道世)

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