中国の全国人民代表大会(全人代、国会に相当)常務委員会は7日、インターネットの検閲をさらに強化する「ネット安全法」を採択した。人権団体のみならず、在中外国企業の反対の声も根強い。
テロと反政府活動を防ぐためという同法案。国家の安全を脅かす重大事件が発生したと政府が判断した場合、通信を制限できることや、プロバイダーに対しては、当局による安全審査、犯罪捜査への技術協力、違法な情報の削除・遮断などを義務づけている。
欧米やアジアの46の企業やビジネス団体が今年8月、草案の意見募集中に李克強総理に送った陳情書で、企業の情報セキュリティー技術を厳しく制限することにより、機密情報が盗まれるリスクが高まり、国際企業の中国市場での競争力を著しく低下させる恐れがあるとして、修正を求めたが応じてもらえなかった。
法案の採択をうけて、在中米商工会議所のジマーマン会長は声明で「中国の技術革新を後退させる一方で、セキュリティー向上にはあまり役に立たない法律だ」と批判した。
中国国民の反応をインターネットで調べたところ、リークされたのは全国大小のメディアが同法を擁護する報道ばかりで、ユーザの書き込みが見当たらない。従来から「地球上で一番言論統制が厳しい」といわれている中国のネット環境がいっそう悪化するもよう。
法案は来年6月から施行する。
(翻訳編集・叶子)