習近平国家主席が中国共産党内の深刻な腐敗を取り締まるため、「トラもハエも一網打尽」と腐敗党員や党幹部を厳しく処罰する姿勢を示してから、今年で3年経った。習政権が今年、腐敗幹部の取り締まりを一段と強化した結果、1月から11月8日までに、四川省長の魏宏氏を含む49人の省部級副職以上の高級幹部が摘発され、処罰された。
習政権は党内の綱紀粛正を強化するため、今年1月に『中国共産党紀律処分条例』、6月に『中国共産党問責条例』を実施した。10月末に開催された中国共産党第18期中央委員会第6回全体会議(六中全会)では、『新情勢下の党内政治活動に関する若干の準則』の制定と『党内監督条例』の改定を決定した。
また、党紀整頓や党員腐敗を監督する中国共産党中央紀律検査委員会(中紀委)は公安部、中央宣伝部、法輪功愛好者を迫害する専門機関の「610弁公室」など91の政府機関を巡視し、12の省政府を再巡視した。遼寧省党委員会書記の王珉氏、天津市党委員会代理書記の黄興国氏は再巡視後に、「厳重な規律違反」として失脚した。
習政権は六中全会が閉幕した2週間後の11月7日、反腐敗キャンペーンの深化を図り、北京市、山西省と浙江省で国家監察体制改革のパイロットテストを行う計画を発表した。国営新華社通信(11月7日付)によると、この計画では、各省・市の人民代表大会が、国家監察職能を行使する専門機関である各省・市の監察委員会を選出して、党の紀律検査委員会と監察委員会と合同で執務する。
改革の目的は、反腐敗のための資源を統合し、監察範囲を広げ、監察手段を充実させ、公権力を行使するすべての公職人員への監察を全面的に実現していくことにある。北京市などでのパイロットテストで蓄積した経験を今後全国に広げていくという。
時事評論員の倫国智氏は、新たな条例の実施は主に党内高層指導部、特に江沢民派閥幹部を対象にしたもので、習氏はこれらの政治規定で江派閥人員が、中央政治局などの人事を決める来年中国共産党第19回全国代表大会(19大)で権力の掌握をすることを阻止する目的だと分析した。
倫氏は、国家監察体制改革は、北京市など3つの省・市でのパイロットテストを経てから、大きな変化がなければ、来年(19大)の開催前に全国に広げていけば、摘発される幹部がさらに増えると予測した。また「今後「習近平氏を核心とした党中央」の下に、人民代表大会(議会)、政府、司法(裁判所と検察院)、監察委員会と「四権分立」の局面を形成しいく」「中央政治局常務委員制度を廃止し、さらに共産党体制を放棄すれば、中国は大統領制度の政治体制になる」との見解を示した。
(翻訳編集・張哲)