中国人民軍は1月31日、ミニブログ「微博」公式アカウントで、氷点下の屋外で凍った牛乳をかじる兵士の写真を掲載した。「厳寒という過酷な条件のなか、訓練に臨む雄姿」を宣伝する狙いがあったとみられる。しかし、ネットでは「暖かい食料をどうして提供できないのか」と、軍の物資管理能力の乏しさを非難するコメントが相次いだ。
話題の画像は、軍所属の記者が旧正月の休暇期間にある軍のキャンプで撮影したもの。1人の兵士は、中身の凍った牛乳パックを歯で破り、凍結した牛乳の塊をかじっている。
この兵士の画像は、人民日報や環球時報など国営メディアが次々と転載した。「苦を苦としない軍人の勇敢な姿」から軍の士気の高さや屈強さを宣伝する狙いだったとみられる。しかし、ネットユーザはその思惑通りにはいかず、中国軍の後方部隊の援助や補給について「遅れている」と指摘した。
ネットユーザは次々とコメントを残した。「中国軍の装備はこれじゃ、アウトドアスポーツ愛好者の準備にもおよばない。保温機は? 小型加熱機は? カイロはあるのか…第二次世界戦争のドイツ軍の後方部隊は、これより10倍は強力だっただろう」。
「また人の涙を誘おうとして、嘘を宣伝している。軍後方部隊の主任の家は、純金の大きな船と多くの茅台(注・高級酒、贈り物に多く利用される)を構えている。なのに兵士はどうして暖かい牛乳さえ飲めないのか」。
「兵士は勝利に最も重要な存在。ステルス戦闘機を作り出せるならば、食料供給の質を高めるべき。米軍はすでに30数年前からMREs(加熱できる食事)を配給しており、厳寒のなかでも温かい食事がとれた」。
谷俊山、徐才厚 江沢民派による軍腐敗
一兵士の苦しみにかかわらず軍将校・士官の腐敗が深刻であることは、市民に広く知られている。先述のネットユーザの指摘した将校の贅沢とは、2012年、「中国軍最大の汚職」といわれ失脚した、兵站を統括する幕僚部門である総後勤部のナンバー3だった谷俊山・元中将軍を指しているとみられる。この汚職事件は2014年に国営メディアが報じた。それによると、谷俊山は不法に軍用の土地や物件を転売して計200億元の賄賂をうけ、一説には、転売額は計3千億元を上回っていたとされる。
谷俊山の強力な後ろ盾で中央軍事委員会ナンバー2だった徐才厚・前副主席、および胡錦濤前指導部で軍制服組の最高位を務めた郭伯雄・同副主席も、習近平政権の腐敗撲滅運動「トラ狩り」対象となり、すでに失脚しているが、2人が不正に築いた財は、谷俊山とは比較できないほど巨額だったとされる。
1989年~2004年、当時の国家主席・江沢民が共産党軍事委員会主席に就いていた当時、軍の腐敗はまん延し、士気・戦力低下に繋がった。2015年3月には、全国人民代表大会(全人代、国会に相当)では複数の軍幹部が、失脚した軍の大物幹部である徐才厚と郭伯雄への批判が相次いだ。
(翻訳編集・佐渡 道世)