3月1日、新唐人テレビと大紀元の米国ニューヨーク本部のサーバは、中国当局のハッカー部隊からとみられる猛烈なサイバー攻撃を受けた。一時、閲覧に支障がでるなどの不具合が生じた。新唐人テレビのIT技術スタッフは、攻撃規模は「国家レベル」で、巨額資金が使われていると見ている。大紀元サーバに対しても、先月7日から、2週間以上のサイバー攻撃が続いた。
検閲を受けない独立メディアである両社へのサイバー攻撃は、政治中枢機関が置かれる北京中南海での会議など、中国の政局が変わるような時期や、2015年8月の天津港湾倉庫爆発事件など、社会の安定を揺るがす大事件・事故が起きた時に集中する。
3月の攻撃は、中国の「両会」開催に合わせて行われたが、もう一つの理由として、両社が「共産党100年の真相」と題した特集で、中国共産党の悪事を暴露しその本質を分析した一連の記事を掲載したことにあると考えられる。
今回のサイバー攻撃に対し、新唐人テレビ代表は「私たちは決して恐れず、これからも、ありのままの情報を世界中の中国人に対し発信し続けていく」と新たな決意を表明した。同社はサイバー攻撃を受けるたびにハッカー情報を記録し、FBIや警察当局に通報しているという。
中国共産党政権は樹立以来、宣伝工作による世論操作を行ってきた。インターネット時代には、海外情報へアクセスを厳しく制限するネット検閲システム「金盾」を設置した。また中国ネット内では、世論を翻弄させるための「ネット軍」を構え、当局に都合の悪い情報を封じ込めようとしている。
新唐人テレビと大紀元は、いずれも米国で設立した独立系メディア。中国当局の検閲や情報抑制を受けず、中国国内外の知識者らの協力を得て、中国共産党の内部事情や体制の性質を伝えている。
両メディアはニュースのほか、無神論を掲げる共産党専制政治により打ち壊された中国古典や文化、伝統的な価値について伝えている。中国共産党から敵視され、サイバー攻撃を受けてきた。
中国共産党機関紙の元スタッフは2016年5月、大紀元の取材に対して、国営メディアによる国内情報や世論操作の手段を暴露した。このスタッフは辞職表に「もう(政府や役人を)賞賛したくない、もう(国民を)脅したくない」といった内容を記していた。国民のみならず、官製メディア関係者でさえ、嘘の流布に辟易しているようだ。
専制政治のなかでは、メディア・コントロールは欠かせない。国内で封じたい情報を遮る他者へのサイバー攻撃は、中国当局の抱く恐れや弱さを露呈している。ハッカー攻撃は、戦争手段の一部となっている。メディアだけではなく、政府や企業、軍事機関も攻撃対象となる。
(翻訳編集・島津彰浩)