中国当局は、米韓によるTHAAD配備への抗議を「愛国心」と結びつけた韓国企業の排斥運動を展開している。全国的な広がりであることと、警察当局が黙認していることから、当局主導と考えられる。この運動の一環として、小学校では「ロッテのお菓子を買ってはいけない」などと指導していることが、ネットで流れる動画や画像で明らかになった。
動画には、教師と思われる男性の掛け声とともに「ロッテは中国から出て行け、韓国製品不買、THAADに反対、中国を愛する」と叫ぶ小学生たちが映っていて、同様の文言が書かれた横断幕を掲げている。撮影時期や場所は不明。
「この典型的な運動はプレ文化大革命時期にも起きていた」と、1989年の六四天安門事件の元学生リーダーで人権活動家・王丹氏は、動画をFacebookのページに掲載してコメントした。
別の動画では、ホールに集まる子供たちが「ロッテのお菓子は食べない、中国を愛する我ら、立ち上がれ!」とスクリーンに映る反韓スローガンを教えられている様子が映っている。
Twitterでは、教師とみられる女性が子どもたちに、韓国のお菓子メーカの外装を提示して、買わないように指導している画像が出回っている。
この画像を転載したユーザは「2008年から、ロッテは甘粛、峡西、安徽、江西……など、さまざまなところで小学校建設を支援し、児童が就学できない問題の解決してきた。こうした学校は、排斥運動に子どもたちに参加させていないでしょうね」と苦言を呈した。
在韓米軍への最新鋭地上配備型迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD)」配備をめぐり、中国は激しい反発を示してきた。本土では、配備の土地を提供したロッテの関連店舗の一部閉鎖、訪韓旅行の規制、韓国系タレントの出演停止などが相次いでおり、政府による報復と考えられている。
THAADは米軍が開発した兵器であり、反米運動が起きてもおかしくないはずだが、その風潮はいまのところ見られない。大紀元評論員・横河氏は、「中国当局は米韓と直接の外交対立を避けるために、韓国企業を狙った可能性がある」「中国が軍事・外交で、米韓と直接向き合う勇気がないためだ」と分析する。
14日には、韓国の次期大統領の有力候補とされる最大野党「共に民主党」文在寅・前代表は、中国に対して、韓国企業への経済的報復をやめるよう求めた。
(翻訳編集・佐渡 道世)