中国では空前のネット中継ブームが起きている。幼稚園から大学まで国公私立を問わず多くの学校で、教室内の様子をネットで公開している。そのため、学生の人権やプライバシー保護などをめぐる議論が起きている。
中国の数十の生中継サイトで、数千校が教室内の映像を配信し誰でも自由に見ることができる。一部の学校は教室内だけでなく、校内の他の場所や、学生寮まで公開している。
これに太鼓判を押す学校側は、見知らぬ人にまで監督されることは、生徒の勉学意欲と自信を引き出すことに役立つと主張している。ある私立の学校長は「映像公開後、学生たちの素行が前よりよくなった」と話した。
中国では厳しい教育が好まれる傾向にあるため、大半の親は我が子の勉強状況、交友関係や恋愛事情を把握しやすくなるとして受け入れているようだ。
一方、当事者である学生達は「自分たちはまるで動物園の動物だ」「学校は刑務所と化した」「見も知らない人にいろいろコメントされるのは嫌だ」などと反対の意見がほとんどだが、学校側に見直しを求めることについては、「自分たちには力がないし発言権がない」「大人たちが決めたことに、我々が議論する余地はない」と消極的のようだ。
いじめを助長する傾向も現れている。映像配信のコメント欄に容姿で辛口評価された生徒は、同級生たちにバカにされるようになったという。
このことをめぐって中国の教育専門家や法律関係者らは、教育環境の悪化、学生の人権侵害や安全問題、長く監視されることによる精神的ダメージなどを挙げて、問題性を指摘する。
中国ではインターネットによる生中継は、商品の販売や企業プロモーションなど様々な分野に及び、ヒートアップし続けている。一部の統計によると、2016年4月時点でユーザーは3.25億人に上り、国内ネットユーザー総数の45.8%を占めている。今後はなおいっそう増えるとみられる。
(翻訳編集・叶清)