1989年以来、毎年6月4日が近づくと香港やその他の国や地域で「六四天安門事件」追悼関連行事が行われている。今年、香港で注目を集めているのが、中国本土で作られた「八酒六四」と名付けられた白酒だ。中国語読みで「89.6.4」と同じ発音になる。
この白酒は中国本土を出て中東、欧州、米国、そして香港に渡ったというニュースは、中国民主化運動の支持する者たちを湧かせた。今年の六四天安門事件キャンドルライト追悼集会で披露されることになっている。
「八酒六四」の由来
昨年5月28日、四川省成都市の市民、符海陸さんが公安局に逮捕され、「国家政権転覆扇動罪」に問われた。その理由は符さんが「八酒六四」を作ったためだとされた。
符さんは酒瓶のラベルに、六四天安門事件の時のように戦車に一人で立つ青年の様子をデザインしていた。ただし、青年は戦車の前であぐらをかいてノートパソコンをのぞき込んでいる。またラベルには「八酒六四―中国北京」、「永遠に忘れない。永遠に放棄しない」、「27年もの」とも記されている。
昨年四川省成都公安局は、この白酒に関与したとして、符さんのほか、詩人の馬青さん、フリーランスの広告デザイナー羅福余さん、旅行会社運転手の張軍勇さんを逮捕している。符さんを含めたこの4人は成都市内で拘束され、現在も長期的に収監されていると見られている。
彼らの友人の1人は取材に対し、「彼らがこの酒を造ったのは、中国人民が受けた苦しみを忘れないためだ。中国人には酒で在りし日の物故者を偲ぶという伝統がある。89年6月4日に当局から弾圧され死亡した学生らの民主化運動は失敗に終わったが、彼らの流した血が、中国人が自由を希求するためのドアをあけ放った」と語っている。
16年5月に符さんらが警察当局から拘留される前に、この白酒はインターネットで数十本が販売された。
覚悟の「八酒六四」中国国外持ち出し
人権活動家の楊建利さんはニューヨークタイムズ紙の取材に対し、この酒が香港に到着するまでの長い道のりを次のように語っている。まず、ある中国当局の政府関係者が危険を冒して「八酒六四」を成都市から中東に運び出した。酒は別の人物に託されパリまで運ばれたあと、パリからワシントンへ郵送され、最終的に人権活動家の手によって香港に運び込まれた。
楊さんは、この八酒六四は今年のキャンドル追悼集会で公開する予定だと語り、5月25日にはツイッターで、世界各国の友人らにテレビやSNSを通じてこの意義深い白酒を見てほしいと呼びかけている。
キャンドルライト追悼集会が終わると、この白酒は香港の六四天安門事件紀念館に展示される予定。
(翻訳編集・島津彰浩)