文部科学省が2020年度から改訂を予定している「大学入試共通テスト(仮称)」について、受験情報サイトがアンケート調査を実施したところ、「将来、ロボットに仕事を奪われる不安を感じている」と、中学生の7割が回答していることがわかった。
調査は、政府による「高大接続改革の進捗状況に関する意見募集」を受けて、改訂版センター試験「大学入試共通テスト(仮称)」についてのアンケートを、受験生応援サイト「受験のミカタ」運営会社パンタグラフが、同サイト閲覧者の約250人を対象に行った。集計期間は2017年5月26日~6月8日。
文部科学省は、高校と大学が一体となった教育改革、高大接続改革を進めている。2020年度から改訂予定の大学入試共通テストでは、思考力や判断力、表現力を評価する形式が取り込まれる予定。高校段階の基礎的な学習結果から、大学教育を受けるために必要な能力について把握することを目的に行われるという。
マーク式、現在のセンター試験に「満足」7割以上 中学生は「新たなスタイル」望む
現在のセンター試験に「満足している」人は183人で全体の73.5%、「満足していない」と回答した人は47人で全体の18.9%。特に、来年受験を控える高3生のうち「満足している」と回答した人は、83.8%と全学年の中で最も高い結果となっている。これは、センター試験を控えた生徒たちは既存の形式に合わせた学習方法を取っているためとみられる。
2020年度に受験を控える現在の中学生は、「暗記した知識だけではなく、思考力・判断力・表現力も評価されるような試験を実施すべきだと考えている」と回答した人は63.8%、「実施すべきだとは考えていない」と回答した人は29.8%となっており、他の学年と比較しても、試験は新しいスタイルに変わるように望む意向が強いことが明らかになった。
中学生はAIの将来に不安?
今回のセンター試験改革の目的は、学生の思考力・判断力・表現力などを高めるためだが、背景には人工知能(AI)の発達がある。日々進化し社会の中に浸透していくAIの技術力により、多くの仕事がロボットに取って代わると推測されている。
今回の調査で、ロボットの発達による将来の就職について「不安がある」「この質問を見て少し不安になった」と回答した人は全体の55.8%に上ります。
調査では、入試改革の背景にあるAI(人工知能)の発達に対し、「ロボットの発達による将来の就職への不安はあるか」という質問に対しては、2020年度以降に受験を控える中学生は、不安を感じる傾向にあることがわかった。次に多かったのは高1生で64.7%が不安を感じていると回答。
AIと共存する近い将来の職業や社会の変化に対して、中学生も敏感に反応していることがうかがえる。
なかには、「ロボットにどんな仕事をやらせるか次第。人がやれるもの、やりたい思う人がいる仕事をやらせるなら不満はあるだろうし、逆にロボットがやってくれることで全ての人間にとってプラスになる仕事もあるはず」といった意見もあった。