環境省や愛知県は30日、愛知県弥富市にある名古屋港のコンテナターミナルで、強い毒を持つ外来種のアリ「ヒアリ」が見つかったと発表した。5月にも、神戸港着のコンテナが巣とともに大量に見つかった。「ヒアリ」は世界各地に定着がみられることから、一旦定着すれば根絶することは困難となるため、環境省は、被害防止のため対応をまとめたリーフレットなどで危険性を周知させている。
コンテナを積んでいた船は、今月15日に中国・広東省の南沙港を出港し、27日に弥富市鍋田ふ頭で港湾運送事業者により「ヒアリ」とみられる7匹のアリが発見された。現段階では、「ヒアリ」が当該地域周辺に定着し繁殖している可能性は低いと考えられている。
先月26日にも、中国から神戸港に運ばれたコンテナの中身を確認したところ、「ヒアリ」が巣(コロニー)と共に大量に見つかった。今月16日、神戸港でコンテナが5日間保管されていた場所から30メートルほど離れたアスファルトの割れ目などでおよそ100匹が見つかった。神戸市は18日午後、対策本部を設置し、現在もトラップ調査を行っている。
「ヒアリ」は赤茶色の小型のアリで、腹部は濃く黒っぽい赤色。体長は2.5ミリから6ミリと大きさにバラつきがあり、土でアリ塚を作って住むことも「ヒアリ」の特徴である。繁殖力が強く在来のアリを駆逐する性質があり、生態系に大きな影響を及ぼす可能性がある。
攻撃性が強く、巣を刺激したりすると集団で襲いかかる。アルカロイド系の強い毒による痛みやかゆみ、発熱、じんましん、激しい動悸等の症状が引き起こされる。アレルギー性のショックで昏睡状態に陥ることもあり、米国では年間100人以上の死者が出ている。
発見したら地方環境事務所等に通報を
環境省自然環境局が危険な外来昆虫であるヒアリの被害を防ぐために、情報をまとめたファイル「ストップ・ザ・ヒアリ」を通じて、対処法や駆除について周知を図っている。
それによると、もし「ヒアリ」を発見したら、地方環境事務所等に通報し、生きた個体を素手で触れてはならない。万が一刺された場合は20~30分程度は安静にする。容体が急変した場合、症状は急激に進むので、最も近い病院で受診する(救急受け入れのある病院であればなお良い)。「アリに刺されたこと」と「アナフィラキシーの可能性があること」を伝えすぐに治療する必要がある、としている。
(編集・岳進)