中国富豪の王健林氏が率いる複合企業大手の大連万達集団(ワンダ・グループ)に関する不利な報道が相次いだ。米格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は17日、同社傘下不動産子会社である大連万達商業地産股份有限公司と万達商業地産(香港)有限公司の2社に対して、格下げ方向で見直すと発表した。また米紙「ウォールストリート・ジャーナル」によると、中国金融当局は各銀行に対して万達集団の6つの海外投資案への融資を中止するよう求めた。
S&Pは、このほど資産を売却した万達集団には、財務的レバレッジとキャッシュフローに不確実性が存在するとし、同傘下2社の債券格付けを格下げ方向で見直している「クレジット・ウォッチ・ネガティブ」(CW)に指定した。
S&Pは昨年12月に、債務が増加しているとして、万達商業と万達香港の債券長期格付けを引き下げたばかり。
万達集団は今月10日、子会社の万達商業が持つホテルとテーマパーク事業の大半を、住宅や商業施設などの開発大手「融創中国」に、約631億元(約1兆円)で売却すると発表した。王健林会長は、売却の理由について「債務返済のため」とした。
翌日の11日、融創中国が、万達集団から3年間296億元(約4736億円)の委託融資を受けたとの声明を発表し、中国国内では大きな波紋を呼んだ。つまり、万達集団は、融創中国に資金を提供して、その資金で万達集団の資産を購入させることになる。万達集団が資本金の90%オフの安値でホテルなどを売却したため、将来買い戻しを計画しているのではないかと疑われている。
中国国内では、万達集団が資産売却を急ぐ理由は中国A株式市場に再上場するためだとの見方をする専門家が多いが、S&Pは現時点、同社が売却によるA株式市場上場への影響が不明だとしている。
S&Pは、万達集団が資産売却後、不動産事業の販売額と収益が大幅に落ち込み、グループ全体の安定性と成長可能性が弱まるとの見通しを示した。
中国金融当局、万達集団の海外買収案に融資をストップ
米紙「ウォールストリート・ジャーナル」が17日の報道によると、中国金融当局の銀行業監督管理委員会(銀監会)は6月20日に、国内国有大手銀行の幹部との会議で、各銀行に対して、万達集団の6つの海外買収案に融資しないよう、要求した。
銀監会は6月中旬に、万達集団を含む積極的に海外投資を行う企業に対して、信用リスクを調査する通知を出した。
これで万達集団は、中国国内の金融機関から海外買収のための資金を借り入れることができなくなった。
「ウォールストリート・ジャーナル」は、万達集団が資産を売却する真の目的は、海外買収案を完了させたいことになると分析した。同紙によると、6つの海外買収案のうちの4つはすでに終了した。
万達集団の経営状況が悪化するとの見通しから、18日香港株式市場では、同社傘下の「万達酒店発展」株価終値が前日比で6.25%安と急落した。
また中国国内債券市場では、同社が発行債券「16万達01」や「16万達02」など4銘柄価格は同0.62%~4.24%安と大幅に下落した。
(翻訳編集・張哲)