株式指数の開発・算出を手掛ける米MSCIはこのほど、中国本土人民元建て株式(A株)市場に上場する企業に対して、株式の取引停止が長く続くとMSCI新興市場指数から除外すると警告した。MSCIは6月20日、A株の222銘柄をMSCI新興国株価指数に組み入れると発表したばかり。
ロイター通信(7月30日付)によると、MSCIアジア太平洋地域担当者は、取引停止となっている銘柄が多すぎるため、中国A株は世界金融市場のなかで異常な動きを見せていると指摘した。同社は今後、来年5月から正式に新興国株価指数に組み入れられるA株の222銘柄の動きを注視していく表明した。
また222銘柄のなかに、A株式市場での株式売買停止が50日間を超える銘柄があった場合、その銘柄をMSCI新興市場指数から除外する措置を採る。外された銘柄は、少なくとも12カ月以内にMSCI指数に再採用されることはないという。
ロイターは、この「12カ月」措置は中国A株式市場の銘柄に限定すると報道した。他の国の株式市場で売買停止となった銘柄に関しては、売買再開すれば、MSCI指数への再採用審査も直ちに行われる。
MSCIは2014年~16年までA株をMSCI指数への採用を検討したが、いずれも銘柄の長期的な取引停止が原因で見送った。
中国上海に本部を置く金融調査会社「ゼッドーベン・アドバイザーズ(Z-Ben Advisors)」が7月26日に公表した調査によると、7月約265社のA株上場企業が株式の売買を停止し、全体1204社のうちの22%を占める。また7月株式売買を停止した企業の数は1月と比べて30%増加した。
同調査会社は、株式の取引停止をした中国企業が毎月増えているとの見解を示した。
MSCIアジア太平洋地域担当者はロイターに対して、中国企業の株式売買停止が数カ月、さらに場合によって1年半以上続くこともあるため、決済または損切りができない投資家が続出し、投資家が自由に市場への出入りを妨げていると指摘した。
(翻訳編集・張哲)