このたび、文部科学省委託の調査で、インターネットやゲームの暴力・残虐表現などが青少年に与える影響について、研究動向が示された。子供たちが暴力表現に触れることについて、攻撃性の高まりや共感の欠如、社会行動の欠如など、人格にマイナスな効果を与える可能性があることを示した。
「暴力的有害情報」とは、殺人、処刑、虐待等の場面の陰惨な描写や残虐な内容。ほかに性行為やわいせつな表現、性描写なども調査対象にした。
2006~2016年まで、85の関連研究論文の考察によると、 暴力表現は「幼児や小学生など、低年齢の子どもたちのほうがメディアの影響を受けやすい」という。
また、暴力的なテレビゲームへの接触は、「攻撃的行動、攻撃的認知、攻撃的感情にくわえ、脱感作(暴力表現に慣れる)、感情移入(共感)の欠如、向社会的行動の欠如」に繋がる可能性がある。
インターネットを題材とした論文では、「依存やネットいじめ、性的な誘惑、自傷行為、自殺願望、うつのリスク増加等と相関。またオンラインゲームは攻撃性に影響する」とした。ただし、全ての子供が同じように影響を受けやすいわけではなく、もともと攻撃的な性格の持ち主がオンラインゲーム中毒になりやすい、という見方もある。
いっぽう、インターネットは、数十年の研究がある書籍やテレビなどとは違う影響があるとして、既存の調査に当てはまらない部分もある。インターネットの影響は、まだ「研究が必要」と調査発表は指摘した。
今回の調査は結論として、暴力描写の影響で攻撃的な行動につながるかどうか議論の余地があるものの、影響が全くないとは言えないとし、予防的な意味で対策法をあげた。具体的は、理由を問わず「暴力は良くないこと」だと教えること。ゲームやインターネットとの付き合い方について青少年が学ぶ機会を設けることなど。
また、保護者達に対しては、監視や注意だけでなく、家庭では時間制限などルールづくりをする。低年齢児においては、「親子間のコミュニケーションが、影響に対する緩和効果をもたらす」という。また、ネット利用などではフィルタリング(閲覧規制)で対策を取るなどを挙げた。
(編集・甲斐天海)