中国とブータンの領有権係争地・ドクラム地区(中国名・洞朗)」で2カ月以上睨み合いを続けてきた中印両軍が「迅速な撤退」で合意したと、インド当局は28日、発表した。ただ、中国軍は今後も駐屯を続けると主張し、領土問題の火種が完全に消えたとは言えない。
中国の福建省アモイで9月3~5日に開催される新興5カ国(BRICS)首脳会議に中印も参加するため、双方は事態の沈静化を図ったとみられる。
中国外務省の華春瑩・報道官は28日の記者会見で、インド側が譲歩し撤退すると強調し、中国軍は規模を縮小させるものの「警備と駐屯を続ける」と述べた。
一部の情報によると、28日午後2時半ごろ、インド軍はすでに撤収を開始した。中国側は現場に留まり、確認作業をしているもようだという。
ドクラム地区をめぐっては、中国とブータンがともに領有権を主張し駐屯している。中国軍が6月中旬ごろ、ブータンとの境界線付近で道路建設を始めたことに対して、ブータン政府は中国に抗議を申し出た。ブータンの外交保護国とも言われるインドの軍隊は境界線を越えて工事を阻止し、中国がインド軍の施設を破壊するなど事態が一時緊迫した。以来、両軍が現場で対峙を続けてきた。
(翻訳編集・叶清)