北朝鮮が3日に実施した水爆実験で、中国東北部の遼寧省瀋陽市、吉林省延吉市や白山市で強い揺れが観測された。市民らは今、核実験による放射能汚染に不安を感じていると大紀元の取材で分かった。また、中国当局が北朝鮮の核問題に対して「口で抗議しているだけ」「暗に実験を指示しているのでは」と強い不満を口にした。
北朝鮮の核実験場がある咸鏡北道吉州(ハムギョンプクドキルジュ)郡豊渓里(プンゲリ)から、中国吉林省長白山(朝鮮名:白頭山)地区までの距離はわずか60数キロだ。
今回の北朝鮮水爆実験で、中朝国境に近い地域だけではなく、吉林省、遼寧省と黒龍江省の3省の広い範囲で揺れが観測された。国内インターネット上では、東北地域のネットユーザーが相次いで、揺れの様子を投稿し、「ビルが揺れている。怖すぎる!」「もう海外に移民するしかない」などと書き込んだ。
遼寧省瀋陽市の胡さんは大紀元に対して、3日当日に揺れを感じて「最初地震だと思った」が、ニュースで北朝鮮の核実験だと知ったと話した。「今、ここに住む皆は放射能汚染があるかどうか、東北部の環境にどう影響しているかと非常に心配している」。
また「北朝鮮が核実験を続けている。私たちにとって、今後(米国などの武力行使による)戦争の影響がないとしても、健康面では放射能による影響が出るだろう」と不安そうに言った。
吉林省延吉市の邢さんによると、多くの市民は強い揺れが北朝鮮の水爆実験によるものだと知った後、口を揃えて「また金三胖(金正恩の蔑称)による仕業だ」と罵った。
同省白山市の劉さんも、北朝鮮の核実験による放射能汚染を強く懸念している。
「北朝鮮は毎回、中朝国境に近いところで核実験をやっている。放射能の漏えいの可能性は否めない。また、核実験が終わった後に、使用済の核燃料はどこに置くのかも難しい問題だ。だから、東北地方に住んでいるわれわれにとって、北朝鮮が核実験を続けることは、生命の安全にかかわる大問題だ。もちろん、北朝鮮の人々の健康も大きな害を与えている」。
白山市の南部地区は、鴨緑江を隔てて北朝鮮と接する。劉さんの友人は、北朝鮮の核実験場に近い同市長白山地区に住んでいて、すでにガンを患っている。「核実験の影響で、この地区の住民はガンの発症率が高い。しかも、同地区の発展が後れていて、情報も入ってこない。多くの住民は放射能の危険性についての知識がないし、当局もこういった注意喚起も行っていない」と劉さんが話した。
中国当局は北朝鮮の水爆実験について言論統制を強めた。国内メディアやインターネット上に同実験に関する報道や投稿を削除した。現在、中国外交部による「抗議」に関する報道が残されている。
劉さんは、当局は北朝鮮に対して「表面上、抗議しているが、実際に暗に支持している」と非難した。
(記者・陳漢/簫逸侖、翻訳編集・張哲)