米億万長者で著名投資家のウォーレン・バフェット氏と米国連邦準備制度理事会(FRB、中央銀行に相当)のイエレン議長はこのほど、相次いで米経済について楽観的な見通しを示した。
バフェット氏は19日、1主要米株価指数のダウ工業株30種指数は100年後、100万ドルまで上昇するとみており、米経済に悲観的な投資家について「狂っている」と述べた。
バフェット氏はニューヨークで開かれた経済誌「フォーブス」創刊100周年記念イベントに出席し講演を行った。バフェット氏は最も成功した投資家として、フォーブス誌が毎年発表する長者番付では、2000年から常にトップ5にランクインしていた。
講演でバフェット氏は「この国について悲観的な発言を聞くたびに、私は彼らが狂っていると考える」「米国をショート(空売り)する投資家は常に負けてきた。これからもそうだ」と述べ、長期的に米株のロング(買い)を勧めた。
19日に米株式市場のダウ工業株価指数終値は前日比39.45ドル高の2万2370.80ドルを付けた。終値としての最高値を6営業日連続で更新した。ダウ平均はトランプ大統領が1月20日就任以来、約13%上昇した。
同氏は100年前にダウ平均が81ドル程度だったことから、今後倍、または2倍に上昇し、さらに100年後100万ドルになることも不可能ではないとの見解を示した。
一方、米国連邦準備制度理事会(FRB、中央銀行に相当)は19~20日、今後の金融政策を制定する連邦公開市場委員会(FOMC)会合を開催した。
会合後に出された声明では、今後の利上げについて「年内1回、来年3回」との予想を維持した。また、金融政策の正常化を図るため、10月からFRBの保有資産の縮小を開始すると決定された。FRBは2008年世界金融危機の対応で、市場に膨大な資金を供給する目的で、金融機関から住宅ローン担保証券(MBS)や国債などを大量に買い入れた。
FRBが保有する資産規模は4兆5000億ドル(約500兆円)に上る。FRBは10月に満期を迎えるその一部の資産への再投資を取りやめるとした。
ロイター通信によると、FRBのイエレン議長は20日の記者会見で、「米経済は好調で、資産購入による景気刺激策はこれ以上必要がない」と述べた。
またFRBの声明では、「米国内労働市場は引き続き強さを増し、経済活動は緩やかに拡大している」「この数カ月間新規雇用の伸びは引き続き堅調で、失業率は低水準で維持。家計支出は緩やかに拡大し、企業の設備投資の伸びはここ数四半期で上向いた」とした。しかし、前年同月比でインフレ率と食品やエネルギー価格を除く指標は目標の2%を下回っているとの見方を示した。
FRBの声明を受けて、米金利上昇やドル供給量の減少との観測が広がり、21日の東京外国為替市場のドルの対円相場は午後5時現在、前日終値の111円39銭から112円54~55銭に大幅なドル高い円安となった。
また日本銀行(中央銀行)も同日、金融政策決定会合を開き、現行の金融緩和策(長短金利操作)を維持すると決定した。会合後の記者会見で、日銀の黒田総裁は今後「必要があればさらなる緩和を行う」と発言し、引き続き大規模な緩和実施を示唆した。
市場関係者の多くは、日米の中央銀行が金融政策に関する方針が相違することや、両国の金利差が一段と拡大するとの見通しから、今後ドル高円安が進むと予測した。
東京株式市場では、大幅なドル高円安が好感された、輸出関連株への買い注文が集中したことで、主要株価指数の日経平均株価は前日終値比37円02銭高の2万0347円48銭を付けた。3日連続で今年の最高値を更新した。東証株価指数トピックス(TOPIX)は同0.82ポイント高の1668.74と4営業日連続上昇した。
(翻訳編集・張哲)