次期最高指導部の人事などを決める中国共産党第19回全国代表会議(19大)の開催が近づくなか、習近平総書記が35年続いた中央政治局常務委員による集団指導体制から、党主席に権力集中する「党主席制」に回帰する可能性が出ている。香港メディアはこのほど、政権に近い情報筋の話として報じた。
5年前の18大で習近平体制が発足してから、習氏をトップに据える中央国家安全委員会・中央改革指導チームなど新しい組織が次々と立ち上げられ、軍事、公安・司法、経済、イデオロギーなどの実質支配権を江沢民派などから取り戻した。
最近、官製メディアが「最高領袖」「最高統帅」「習核心」「習思想」を連発させ、習氏を前任の江沢民氏と胡錦濤氏以上に持ち上げている。これについて、大紀元のコメンテーター・李林一氏は次期最高指導部では習氏の権力が強化され、他の最高指導部メンバーの権限が弱まり、いわゆる「形を変えた大統領制」を取り入れる可能性があると分析する。
中国共産党行政体制改革研究会の副会長、国家行政学院教授の汪玉凱氏は昨年、習氏は「様々な社会不安、(江沢民派との政治闘争の)危険から抜け出すには、政治を民主主義に向かわせる抜本的な改革は避けられない」「大統領制も選択肢の一つ」と発言した。
一方、ラジオ・フリー・アジア(RFA)は共産党体制内の学者の話として、習氏が党主席制を復活させるための準備を進めていると報じた。
在米中国問題専門家は、最高権力が習氏に集中することによって、共産党政権の体制が大きく変わる可能性は高いが、民主主義に転化する兆しがまだ見えないとした。
35年前の12大で党主席が絶対決定権をもつ「党主席制」が廃止され、中央政治局常務委員会常務委員(7~9人)の多数決で決める「集団指導体制」に変わった。この集団指導体制は、党内の権力闘争を招く一因ともされる。
(翻訳編集・叶清)