中国金融当局はこのほど、国内金融リスク拡大への強い警戒感から不動産市場に流れ込む消費者金融に対して、厳しい引き締め措置を打ち出した。国内不動産市場調査会社によると、当局が昨年住宅ローン規制などを実施したが、今年3月から9月までの半年で、消費者金融を通じて約3000億元の資金が不動産市場に流れ込んだ。このため、一部の都市で不動産市場の抑制措置は功を奏さなかった。
中国紙・新京報(10月1日付)によると、中国金融当局にあたる銀行業監督管理委員会(銀監会)審慎規制局の肖遠企局長は9月29日、住宅ローンの頭金を消費者金融や個人事業用融資で賄うケースが急増したと指摘したうえ、不動産バブルリスクを防ぐために、融資規則違反の「頭金」を厳しく対処するとの姿勢を示した。
不動産市場調査会社の易居房産地研究院が9月16日に発表した統計では、今年3月以降、新規の超短期消費者金融規模が約3700億元(約6兆2160億円)に達し、うちの3000億元(約5兆400億円)規模が不動産市場に投じられた。
銀監会の指示で、北京市や広東省広州市や深セン市など、一部の省や市金融当局はすでに、管轄内の各銀行に対して100万元(約1680万円)以上の消費者金融や個人事業用融資への徹底的な事前審査実施、または融資禁止との指針を通達した。
新京報の報道によると、当局は消費者金融の金額が10~30万元(約168万から504万円)までの融資を重点審査対象としている。また50万元(約840万円)以上の融資申請に対して、必ず審査するよう要求している。
中国当局は今月18日に、党最高指導部の人事を決める共産党全国代表大会を控えている。
9月14~15日、北京市で開催された「2017金融街フォーラム」で、出席した人民銀行(中央銀行)や銀監会、証券監督管理委員会(証監会)、保険監督管理委員会(保監会)など金融当局幹部らが相次いで、「今後も金融監督を強化していく」「金融システム危機を起させない」とあらためて発言した。
時事評論員の唐靖遠氏は、中国当局による金融界への最近の引き締め強化は過去5年間で最も厳しいと指摘した。「党大会の開催中に2015年株価大暴落のような大混乱をどうしても避けたい、習近平当局の狙いが見て取れる。中国の経済に問題が起こると、社会不安が生じるだけではなく、党内の政敵に習氏を攻撃する口実を与えることになる」と分析した。
(翻訳編集・張哲)