今年半ばに退任した梁振英・前香港特別行政区長官(63)は6日、「国家と香港」と題するシンポジウムで「国家による殺人は犯罪ではない」と発言し、物議を醸している。
シンポジウムは香港返還20周年を記念するもので、中央政府機構の中国人民政治協商会議全国委員会副主席の梁氏はその席で、香港の若い世代に向けて国家を擁護すべきと力説した後、上述のコメントを発した。
この発言への批判が噴出している。インターネットなどでは、第二次世界大戦中にナチスドイツなどの国家が起こした総計600万人超す虐殺も正当なのか。北朝鮮の歴代政権、イラクのフセイン政権、リビアのカダフィ政権のほか、中国共産党政権による民主派・宗教団体・少数民族への弾圧は正しいのか、など反論する意見が相次いでいる。
梁氏はまたシンポジウム出席者の名前に「国」「華」の文字が多いことを根拠に、香港人の絶対多数は愛国者だと結論づけた。この言い分を皮肉るネット上のコメントを拾った。
「梁振英の名前は『英国を振興する』の意味合いだ。愛国者と自称していいのか」
「梁国雄氏の名前から『国家の英雄』として大いに讃えるべきだ」(編注:梁国雄氏は民主派議員で、中央政府に反抗したことより議員資格をはく奪された)
米国営放送ボイス・オブ・アメリカ(VOA)は「度々びっくり仰天の論調を発する梁氏がまたもや、世間に衝撃をあたえた」と評した。
梁振英氏は本籍中国山東省の香港生まれ。2012年の長官選挙で中央政府の水面下の選挙支援を受けながら全1200票中689の低得票数で当選し、「689」というあだ名がついた。在任中に、香港の小中高校で本土同様の愛国教育の実施を決定する(強い反対により白紙撤回)など中国共産党擁護の立場を全面に打ち出して、支持率が低迷した。
中国共産党の元工作員と自称する香港出身カナダ在住の梁慕嫻氏(77)は2012年の長官選挙運動中、梁氏も共産党の工作員だと公で告発した。
(翻訳編集・叶清)