10月下旬の第19回党大会で昇進した中国共産党規律検査委員会(中規委)のトップ、趙楽際・書記はこのほど、反腐敗の戦いをさらに深化させ圧倒的勝利を勝ち取るなどと発言した。就任早々、高級幹部を失脚させるなど、前任の王岐山氏よりも手厳しく腐敗問題に対処していくと中国問題専門家はみている。
中規委の公式サイトは10日午後、全人代主要幹部、中国環境科学研究院の前院長・孟偉氏への取調べを開始したと公表した。同氏は党大会後に初めて失脚した汚職高官である。
翌11日、共産党機関紙「人民日報」は趙氏の長文を掲載。冒頭で党員に対し「習核心と高度な一致を保つよう」と呼びかけ、習近平主席の名前を17回言及するほど全面支持の姿勢を打ち出している。また「中国で問題が起きるなら、原因はやはり党の内部にある。(中略)党の自己管理に徹しなければ、歴史に淘汰されるのは避けられない」と共産党危機論を口にした。
これまでに、胡錦濤・前国家主席、習近平・国家主席、王岐山・前中規委トップはたびたび深刻な社会不安や幹部の腐敗問題に言及し、共産党は存続の危機にあるという主旨の発言をした。
10月29日、就任4日目の趙氏は中規委の内部会議で、今後の反腐敗運動の方向性について、「(王岐山前体制の)良い経験・やり方を継続、進化させる」「緩めない、止まらない、再出発する」「圧倒的勝利を勝ち取る」「新しい局面を作り出す」などと意気込みを語った。11日の長文では、周永康や薄熙来、郭伯雄、故・徐才厚、孫政才、令計画ら汚職などの罪で失脚した党指導部高官を名指して批判した。
中国の政治に詳しい識者は、その言動から汚職の取締りが王岐山体制よりいっそう厳しくなると予想した。
前任の王氏は5年の任期中に、党指導部である中央政治局の委員40数人、高級幹部440人以上を取り締まり、習氏の右腕として、軍事・政治の主導権を江沢民派から取り戻すために汗馬の労を奏した。
(翻訳編集・叶清)