中国で拘束された台湾の人権活動家の李明哲氏(42)は28日、湖南省の岳陽市中級人民法院(地裁に相当)に「国家政権転覆罪」で懲役5年の実刑判決を言い渡された。李氏の妻は夫の無罪を主張し、国連などに救出を求める考えを示した。
中国当局は、李氏が2012年から16年まで、ソーシャルメディアとメッセージングプラットフォーム上の中国友人グループで、中国の国家及び政治制度を批判し「国家政権の転覆を図ったが未遂に終わった」としている。李氏は判決を受け入れ、上告しない意向だ。
一緒に活動した中国の人権活動家の彭宇華氏は懲役7年の実刑判決を受けた。
判決をうけて台湾政府は声明を発表。李氏はSNS上で中国人と台湾の民主主義政治の経験を共有したまでで、国家政権転覆には該当しないこと、今回の判決は今後の両岸関係に重大な悪影響をもたらすと強調し、李氏の釈放を求めている。
裁判を傍聴した李氏の妻は「中国の裁判所が示した夫の犯罪事実は、民主国家では言論の自由の範疇のものばかり、夫は無罪だ」と述べ、今後はひきつづき、国連などに夫の救出を求めると示した。
閉廷後、李氏と3分間面会した妻は、夫に「あなたはいま世界で名が知れわたった政治犯だ。全世界があなたのことに注目している。勇敢に立ち向かうのだ」と励まし、それに対して李氏は頷いたが多くを語らなかったという。妻は李氏には盗聴器が付けられていたと推測する。
台湾政治大学教授の李酉潭氏は英BBCに対して、「日本人や米国人など諸外国人の場合は、スパイ罪になるが、今回の国家政権転覆罪と政治権利はく奪2年は、台湾人を自国民として扱うことを意味する」と分析した。
台湾の弁護士の呂秋遠氏も「起訴状の内容は抽象かつ不明確で、SNS上の書き込みが有罪の根拠になりうるのか」と裁判の公正性に疑問を呈した。
李氏の妻とともに裁判を傍聴する予定だった台湾元立法委員の王麗萍氏は、中国の空港で入国を拒否されて強制送還になった。
李氏は今年3月、中国大陸に入国した直後に消息を絶ち、5月に逮捕されたことが判明した。
台湾立法院(内閣)大陸委員会によると、約1300人の台湾人が大陸の刑務所に服役している。
(翻訳編集・叶清)