中国当局は6日、『反スパイ法』の『実施細則』を公布した。その中で、これまで国内外から曖昧だと指摘された「スパイ行為以外のその他の行為」や「スパイ器材」などの定義をはじめて明らかにした。日本を含む世界各国は、中国の反スパイ法や同細則について関心が高い。
産経新聞の9月の報道によると、2015年以降12人以上の邦人が、スパイ行為があったとして中国当局に拘束された。
同細則は5章26条ある。中国当局は3年前に『反スパイ法』を実施し始めた。
米ボイス・オブ・アメリカは、『実施細則』によって「今までと比べて、より広範囲の分野での行為がスパイ犯罪と見なされるだろう」と評した。
問題視されている「スパイ行為以外のその他の行為」の「その他の行為」について、同細則は、「国家の分裂を組織・画策・実施して、国家の統一を破壊する。国家政権と社会主義制度を転覆する」と定義した。
また、「事実のねつ造と歪曲、国家の安全を脅かす文章・情報の発表と散布、または国家の安全を脅かす映像作品や他の出版物の製作・伝播・出版」、「社会団体あるいは企業などの事業組織の設立を利用して、国家の安全を脅かす活動をする」なども「その他の行為」と定義している。
さらに、当局からの許可がなく、外国籍の人が中国本土で「国家の安全を脅かす可能性の高い中国人住民」との面会は、反スパイ法の違反にあたる可能性が高い、と解釈する。
一方、『反スパイ法』第25条の「専用スパイ器材」の定義について、「内蔵式盗聴器・隠し撮りカメラ。緊急式送受信機、ワンタイム暗号ツール、ステガノグラフィツール。情報獲得のために電子傍聴・傍受器材。その他の専用スパイ器材」と定めた。
同細則はまた、「境外機関・組織」に関しては、海外機関・組織が中国で設立した支部機関・組織も含まれている、とした。「境外個人」とは、中国国内に住む中国国籍を持たない人をさす、と示した。
中国当局は『反スパイ法』とその細則を実施する最大の目的は、中国共産党政権の崩壊を防ぎ、反体制派を抑圧するためだとみられる。このため、台湾や香港など海外中国語メディアは今回の『実施細則』について批判している。
台湾メディア・中央通信社は6日、同細則に記載された「国家を分裂し、国家の統一を破壊する行為は、スパイ行為以外のその他の国家安全を脅かす行為とみなす」との規定に高い関心を示した。
香港メディア・「東網」は、盗聴器や隠し撮りカメラも「専用スパイ器材」であると定めたことに、異議を唱えた。「法的範囲内で、公民が自らの安全や財産を守るための手段として、盗聴器などを使う権利がある。同細則の規定は、公民の権利を侵害している」と批判した。
独メディアのドイチェベレは、中国当局は今後、政権批判者などへの鎮圧をさらに強めていくとの見方を示した。
(翻訳編集・張哲)