留学などで海外から日本にやってくる外国人がまず考えなければならない事は、どこに住むかだ。ネットでたやすく情報が入手できるので、日本人にとってはアパート探しは簡単なことのように思える。しかし、外国から来た留学生にとっては、日本独自の文化や慣習を理解していなければ、ネットで情報を見つけようとしても本当に自分が探している物件なのか判断が難しいようだ。
開成アカデミー日本語学校が、15日、中国、タイ、ベトナムからの留学生を対象に「不動産賃貸講習会」を開催した。実際に講習会の最中に質問が相次いだのは、「礼金」について。保証金が必要なのに、さらに支払わなければいけないことに納得がいかないという声があがった。
「お礼に『何をもらうか』、『いくらもらうか』、もらう方が決めるのはおかしいと思いませんか?」
スタッフからはもともと、「礼金」は賃貸借契約締結への謝礼という側面がある。「部屋を貸してくれてありがとう」という気持ちを込めて、大家さんにあげるお金だと説明があった。日本人だとアパート探しをする時、「敷金」や「礼金」などは慣習として払うことに疑問を抱く人は少ないだろう。
一方、留学生の母国では、学生がアパートを探す時は、実際に足を運んで、自分で空きアパートがないかを探し、“空き”のサインの物件があれば、連絡を取り自分で交渉する。そして契約時に、保証金を家賃の約2カ月分を支払い、契約成立というのが大まかな流れで、不動産業者を介さず手数料などもかからず、自分で交渉し納得した金額を、合意した時期に支払うので不安や不満に思うことは少ないという。
またアパートは数人でシェアするのが一般的で、諸外国においては日本の独立型の方がむしろ珍しい。欧米のシェアハウスは、契約は代表の借主が貸主と締結するため、賃料は何人で住んでも同じで、入居者が少なくなるとその分各自の負担が増える。
一つのアパートに何人で暮らそうが、不自由や不便さを感じるのは住んでいる本人なんだから、きちんと賃料を支払っている限りは、退去処分になるのはおかしい。
「日本のアパートには居住できる人数に制限があること」を説明するのが悩みの種だという不動産業者も少なくないようだ。
開成アカデミー日本語学校では、学生たちが当校卒業後、日本の大学や専門学校でさらに専門分野を学ぶために必要な力をつけられる機会を増やすさまざまなイベントを開催している。
(大道修)