今月中旬中国当局は、中国に進出する一部の外資企業がホームページなどにおいて、チベットや台湾を「国」として表示したことで、各社に謝罪などを求めた。中でも米ホテルチェーン大手のマリオット・インターナショナルに対しては、中国語ホームページの一時閉鎖の処分を下した。米メディアによると、米国政府をはじめとする国際社会は、中国当局の経済的影響力を利用した、外資企業の事業運営への強い干渉に対し警戒感を強めた。
米紙・ワシントンポスト(21日付)コラムニストのジョッシュ・ロジン氏は、同評論記事において、世界第2の経済体に成長した中国当局は、その経済的な影響力でもって、外資企業に対し当局の政治主張に賛同するよう脅迫している、と批判した。
ロジン氏によると、米トランプ政権の高官、国会議員や一部の有識者は、外資企業がチベットや台湾などを「国」として表示したことに対し、中国当局が「過剰反応をみせたこと」で、警戒感を高めたという。
中でも、共和党のマイク・ギャラガー下院議員は、中国当局による外資企業への露骨な脅迫や干渉のエスカレートに対し、「米政府は、官民一団で対策を講じるべきだ」との認識を示した。
またロジン氏は、チベット・台湾表示問題で、中国当局は国内メディアを操作して外資企業への非難を煽動したと指摘した。
共和党のテッド・クルーズ上院議員は、メディア操作で国内の言論統制を行ってきた中国当局は、今この方法で米国企業の事業運営に口出しをしていると批判した。
しかし、米シンクタンク「戦略国際問題研究所(CSIS)」上級研究員のボニー・グレイザー氏は、米ボイス・オフ・アメリカ(VOA)の取材に対し、現状では数社の外資企業だけで、中国当局の政治的圧力に抵抗していくのは難しいと分析した。
グレイザー氏は、中国当局は外資企業の「巨大な中国市場を失いたくない」との心理をよく心得ているため、さまざまな切り札を使いながら、外資系に政治的圧力をかけてきた、と分析。この政治的圧力に打ち勝つには、すべての外資企業が一致団結して中国に対抗していく必要があるという。
一方、英誌・エコノミスト(22日付)は、中国当局は経済的影響力を利用して外資企業に圧力をかけながら、同時に台湾・蔡英文政権への圧力も強めているとした。「目的は、国際社会において、引き続き台湾を孤立させることだ」との見方を示した。
昨年の秋以降、中国軍が台湾海峡で軍事的動きを活発化させ、同地域での緊張が高まっている。
(翻訳編集・張哲)