中国共産党中央委員会は25日、憲法が定める「2期10年を超えてはならない」との国家主席と副主席の任期を撤廃するなどの憲法改正案を発表した。習近平国家主席は2022年以降も、国家主席を続投する可能性が高くなった。
習近平氏は昨年10月の党大会で、2期目の党総書記と軍事委員会主席の再任が決まった。3月5日に開催する全国人民代表大会(全人代、国会に相当)で、2期目の国家主席を正式に承認される。
中国政府系メディアによると、党中央委員会は、国家主席の任期のほか、習近平氏の政治理念を反映する、いわゆる「習近平思想」を憲法に盛り込むよう提案した。同提案は3月の全人代に提出され、審議されるとの見通しだ。
現行の中国憲法第79条第3項には、国家主席の任期について「1期5年」で、「連続任期は2期10年を超えてはならない」と明記してある。
一方、中国共産党党規約では、党総書記の任期に就いて規定はない。昨年10月の党大会で、党最高指導部である中央政治局常務委員に新たに就任したメンバーのうち、「ポスト習近平」とみられる比較的若い候補者が見当たらない。このため、国内外の世論は、現在2期目の習近平氏が退任する予定の2022年以降も、引き続き3期目の政権を担っていくと推測してきた。
党中央委員会が提出した国家主席の任期に関する憲法改正案は、長期政権を目指す習氏のための布石とみられている。3月の全人代で同憲法修正案は通過する公算が大きい。
香港紙・蘋果日報によれば、現中央政治局常務委員の汪滬寧氏が、国家主席の「2期10年」任期制限の改正を主導したという。汪氏は、元国家主席の江沢民氏と胡錦涛氏のトップブレーンであったことが知られており、三代にわたって指導者の傍らに寄る「政界の不倒翁(起き上がり小法師)」と呼ばれる。
汪氏は昨年10月の党大会で党規約に「習近平思想」を盛り込んだことや、党大会前に党内の習氏の「核心的地位」の確立にも大きく関わり、その立役者とされている。
(翻訳編集・張哲)