米ホワイトハウスは29日、500億ドル(約5兆4584億円)相当の中国製品に対して25%の追加関税を課すると発表した。6月15日までに対象製品のリストを作成し公表するとともに、速やかに制裁関税を課すとした。
対中制裁関税措置の突如の復活について、米メイディアは6月12日開催予定の米朝首脳会談を、中国側が「かく乱した」ことに不満があったと推測した。
米中両国は約2週間前、2回目の通商交渉を行ったばかり。ホワイトハウスが5月20日に公表した共同声明では、中国側が「米製品やサービスの購入を大幅に増やす」と記された。これを受けて、ムニューシン財務長官は同日、米メディアに対して「中国製品への制裁関税措置を保留する」との考えを示した。
国際社会は、米中貿易戦争が一段落したとの見方をした。
米紙・ウォールストリート・ジャーナル(WSJ、30日付)によると、コーネル大学のエスワー・プラサード教授は、2回目の通商交渉で中国は、貿易黒字削減との米側の要求に応じなかったことが、トランプ政権が制裁関税措置を再び打ち出した理由だと分析した。
ロス商務長官が6月2~4日までの日程で、通商問題で再訪中する。同教授は、訪中前に米政府はより強硬な姿勢を示し、中国側をけん制する狙いがあるとした。
トランプ大統領は、5月17日に北朝鮮が挑発的な態度に変わったことは、中国の習近平国家主席が北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長に「影響を及ぼしている可能性がある」と話した。
22日、韓国の文在寅大統領が訪米した際、トランプ大統領は「中国の習近平国家主席は世界レベルのポーカープレーヤ」と、北朝鮮問題をカードにする中国を批判した。
一方、米紙・ニューヨークタイムズ(30日付)は、米朝首脳会談の開催に対する中国の影響力が低下したことが、新たな対中制裁関税の発動に繋がったとの見解を示した。また同紙は、29日の発表によって、米中通商問題においてトランプ政権が態度を軟化しているとの国内世論の批判を交わす狙いもあるとした。
大統領は5月24日、米朝首脳会談の開催を中止すると明らかにした。突然の発表に北朝鮮が焦り、首脳会談の開催を呼び掛けた。これを受けて、米政府は首脳会談の開催に向けて楽観的な姿勢を示し始めた。
現在、米朝双方の政府関係者は6月12日の首脳会談開催に向けて協議を行っている。
米国国内世論は、中国通信大手中興通訊(ZTE)に対する制裁緩和を批判している。一部の国会議員は、イランや北朝鮮と取引を行うZTEを看過できないと指摘する。
ニューヨークタイムズは、ホワイトハウス関係者の話を引用し、中間選挙を控えている大統領は世論や議員らの意見に留意していると伝えた。
(翻訳編集・張哲)