中国軍改革が困難な局面に? 営利事業の中止を延期

2018/06/16 更新: 2018/06/16

中国共産党中央弁公庁、国務院(中央政府)弁公庁、中央事委員会弁公庁はこのほど、軍による営利事業や有償サービスの提供を年内に全面的に停止するよう、党、政府、軍の関係部門に通達した。しかし、新華社通信の昨年5月31日の報道では、期限は今年6月に設定されていた。期限の引き延ばしについて「軍改革は予想以上に困難だった」との見方が出ている。

通達の中で、「複雑で敏感な事業に対して徹底的に取り組む」「取り組みは決勝という肝心な時期に差し掛かっている」などの文言が並べられた。

軍改革については、中国当局は16年3月、軍による有償サービスを順次停止させ、18年6月末までに全て完了させることを確認している。「軍部による有償サービス」とは、軍所有の資産やサービスを一般社会に有償で提供することを指し、典型的なものは軍の病院の一般開放で、その他、芸能公演を行う歌舞団、科学研究機関や倉庫、港湾など多岐にわたる。

これらは、しばしば軍関係者の不正蓄財の温床となっているほか、所有する有償サービス部門の多少によって、地方の軍当局の福利厚生にばらつきが出るなどの弊害も多い。大規模な強制的臓器摘出(臓器狩り)が最初に行われるようになったのも、軍の病院だった。

2010年10月、衛生部が発表した臓器移植手術実施可能な163病院のうち、その25%は軍の病院だった。

中国國防大學の姜魯鳴教授は、有償サービスはすでに一部の軍の主な収入源となり、「複雑な利益関係が絡んでいる」と述べた。

大紀元コラムリストの李林一氏は、通達で言及された「複雑で敏感な事業」は臓器狩りを意味する可能性が高いとの見方を示した。「これより敏感な有償サービスはない」とした。

軍による密輸もはびこっていた。軍の立場を利用して、軍艦を自動車や家電の密輸に利用していた。在米中国問題評論家の陳破空氏は昨年、米VOAの番組で、「軍内部の腐敗は至る所でみられる。国境防衛部隊ならば、武器を密輸する。なかでも一部の武器は東トルキスタン解放組織(ETLO)まで渡っていた。また森林や鉱山など資源を守る部隊も、その森林や鉱山資源を勝手に他人や企業に売ることで金をもうけてきた」と述べた。

こうして入手した資金は賄賂に使われている。江沢民政権時代、軍でポスト売買が横行していた。陳氏によると、「兵士召集から腐敗は始まっている。男子が軍に入隊したいなら2万~5万元(約34万~85万円)、女子は5~10万元(85万~170万円)との相場で、軍幹部に賄賂を渡さなければならない」

習近平政権が行う「反腐敗運動」で、徐才厚軍事委員会副主席、谷俊山中将、王守業海軍副司令官など、60人近くの高官が相次いで失脚した。

一部の中国語メディアはこの通達から「軍改革が困難な局面に入った」との見方を示し、あと半年で完遂できるかどうか疑問だとした。

(翻訳編集・李沐恩)

関連特集: