ロシア地方司法当局はこのほど、中国企業が世界遺産であるバイカル湖から汲み上げた水でミネラルウォーターを生産することを禁止した。ロシアは近年、同国の森林、天然ガスなど自然資源を狙う中国企業に警戒感を強めている。米ボイス・オフ・アメリカ(VOA)などが15日報道した。
バイカル湖に隣接するイルクーツク州裁判所は14日、中国ミネラルウォーター・メーカーの「バイカル湖龍泉水廠」に対して、湖畔にある同社の工場でペットボトル入りミネラルウォーターの生産を禁じると言い渡した。
裁判所によると、ミネラルウォーターは、バイカル湖の水から造られ、中国に輸出されている。地元検察当局は、同社が水質管理を行っていないと指摘した。裁判所は、今後同工場の品質管理がロシア政府の基準まで達した場合、生産禁止令を解除するとした。
この工場は、2013年閉鎖されたバイカルスク紙パルプ工場区にある。ソ連時代に設立されたこの製紙工場は、長い間漂白用の塩素を含む工業排水をバイカル湖に排出したことで、湖の水汚染が深刻化した。住民らの抗議で2008年10月閉鎖されたが、10年4月に操業が再開された。その後、ロシア国内で非難集中したため、13年に全面的に閉鎖された。
一方、中国企業の「バイカル湖龍泉水廠」は、ロシアに近い中国黒竜江省のハルビン市に本社を構えている。同社は15年9月にバイカル湖畔で生産工場を設立した。同湖の水面から150メートルの深いところから地表水を汲み上げた後、浄水処理を行わないまま、「バイカル湖の天然水」として販売しているという。
VOAによると、「龍泉水廠」のロシア進出に対して、ハルビン市道外区政府が中国当局の「一帯一路」経済圏構想の下で支援を行った。
ロシアのネットユーザーらは、SNS上「龍采氷海」ブランドのボトル入りミネラルウォーターの写真を投稿し、中国企業の進出に関する議論を広げている。多くのネットユーザーは、中国がロシアの石油、天然ガスと森林資源の次に、バイカル湖の自然資源に目を付け始めたと批判の声が高まっている。
(翻訳編集・張哲)