中国当局はこのほど、中国国内に滞在する中国系米国人の数人に対して、出国を禁止した。中国は、海外に逃亡した汚職官僚を帰国させるため、外国国籍を持つ親族を「人質」として拘禁したとみられる。米メディア・デイリービーストが18日報じた。
報道によると、中国当局は過去2年間に少なくとも20人の米国人に対して、中国国内に留まるよう強いた。中国当局は、その一部の人を「人質」にすることで、米国にいる親族が中国に帰国し当局の取り調べを受けるよう圧力をかけている。
中国人権問題に詳しい専門家は、米国人への出国禁止は「中国当局が、米政府に圧力をかけるための新なた手法だ」と指摘した。
中国公安部は2014年に海外逃亡の汚職官僚を対象に「猟狐行動(キツネ狩り)」を展開した。一部の報道では、公安部が派遣した諜報員らは、ビジネスや旅行目的の査証(ビザ)を通じて米国に入り、逃亡した党員らを探し出している。
トランプ政権は、米国人の「出国禁止」について、中国に反発した。2017年10月にワシントンDCで開かれた米中間の司法およびネットの安全問題に関する対話で、米政府は中国に対して、米国人3人の出国禁止を解除するよう求めた。3人のうち、1人は妊婦だという。
中国は14年末に「猟狐行動」を終了させたとしているが、実際にはまだ続いているとみられる。
中国と米国の間には、犯罪人引き渡しに関する条約を締結していない。米国側が「犯罪人」を中国に引き渡すことに慎重であることが原因だ。特に「猟狐行動」の対象とされる経済犯罪容疑者。人権団体は、中国当局が海外にいる反体制活動家を「経済犯罪者」にでっち上げ、中国国内に連行しようとしていると懸念している。
中国で犯罪をしていない米国人が、中国当局に長期間に拘禁された場合、米政府は外交ルートを通じて、解放を求めていくとみられる。米専門家は、「米国人に対して、中国から出るのを禁止したことは、根本的に政治問題である」との見方を示した。
(翻訳編集・張哲)