ヘルシンキの米ロ会談の4日前、音声や映像の情報を集めるオンラインシステムを乗っ取ろうとする中国発信のサイバー攻撃があった。米拠点の情報セキュリティ会社「F5」が19日に指摘した。
「F5」の調査レポートによると、フィンランドのインターネット接続デバイスの遠隔統制機能を行えるシステムへの攻撃が7月12日から14日に急増した。16日の米ロ会談の前、最大で通常の28倍もの攻撃が確認されたという。
サイバー空間では、常に世界中で攻防が行われており、北米や欧州の主要国、日本などが攻撃対象となるが、「フィンランドに対する攻撃はまれ」と報告書は指摘している。
サイバー攻撃は中国最大の通信網「チャイナ・ネット」から発せられていた。攻撃は中国からのみならず、米国、フランス、イタリア、ロシア、ドイツなどからも発信されているという。
「IOT(インターネットにつながる道具)の安全保障が不十分であれば、敵からの攻撃の余地を与えてしまうことになる」と同報告書は指摘する。また、電話会議ソフトウエアや電話アプリで使用されるプロトコルやポートが攻撃を受けていたという。
米FBI長官クリストファー・レイ氏は7月18日、ASPEN情報セキュリティフォーラムに出席した際、情報戦において「中国を仮想敵とみなすと、米国が直面している最も広範で、最も浸透し、最も脅威的な課題だ」とコメントした。
(編集・佐渡道世)