米中貿易不均衡の是正を求めるトランプ米大統領は19日、米メディアのインタビューを受けた際、今後中国から輸入する5000億ドル(約55兆7500億円)相当の製品に対して追加関税を課する意向を示した。これは中国からの輸入総額とほぼ同じ規模だ。専門家は、米国の対中関税措置や、欧洲と日本が経済連携協定(EPA)を結んだことで、国際貿易において中国は「ますます厳しい局面に直面している」と指摘した。
トランプ大統領が米CNBCの番組で示唆した。大統領は関税措置の拡大は「政治のためではない」とし、中国が長期的に貿易などで「米国をいいように利用している」と批判した。
2017年米国は中国から約5055億ドル(約56兆3633億円)相当の製品を輸入した。これに対して、同年中国の米製品輸入実績は1300億ドル(約14兆4950億円)
中国輸出産業の先行き不透明感が高まっている。米国からの通商制裁だけではなく、中国を取り巻く国際貿易の環境が急激に変化している。
独紙ハンデルスブラット(4日付)によると、トランプ大統領が欧州連合(EU)に対して、米自動車に対する輸入関税の撤廃を求めており、EUがこれに応じた場合、米政府も同様に欧州からの輸入車に対して報復関税を中止する。
一方、EUと日本は17日、経済連携協定(EPA)に署名した。互いの自動車などの工業製品や農林水産物の大半が、関税の引き下げや撤廃の対象となった。EPAは、双方政府の批准手続きを経て、来年3月までに発効するとみられる。これによって、世界の国内総生産(GDP)の約3分の1を占める巨大な自由貿易圏が誕生する。
これを背景に、中国当局は大幅な関税引き下げをしなければ、今後国際貿易においてますます不利になるとみられる。しかし、専門家は、中国当局は大きな関税引き下げをしないと予測する。
中国経済学者の巩勝利氏はこのほど、米ラジオ・フリー・アジア(RFA)に対して、「約9000万人の党員を養っている当局にとって税収は非常に重要だ。他国のように、簡単に関税を引き下げたり撤廃はしないだろう」と述べた。
他の国と違って、中国政府の歳出には共産党員に支給する手当なども含まれている。「国家財政の一部が党中央宣伝部、党中央統一戦線部、各省・市・県の党委員会と各レベルの党組織に割り当てられていく。西側諸国の政府にはこのような財政負担がない」
今後日本、EUと米国の間で関税や貿易障壁の撤廃について合意すれば、世界最大規模の経済圏が生まれる。巩氏は高関税、輸出補助金、貿易障壁を行う中国はこの巨大な経済圏から「排除される」ため、経済が一段と厳しい境地に追い込まれると指摘した。
世界貿易機関(WTO)がこのほど、中国の貿易政策を審査した報告書を発表した。WTOは、中国政府は今も国有企業への補助金、外国企業の参入制限や経済活動への介入を続けており、市場が閉鎖的だとの見方を示した。また、WTOは中国企業による知的財産権侵害行為を批判した。
(翻訳編集・張哲)