中国複合大手の海航集団(HNAグループ)が所有するニューヨーク市内のビルはこのほど、米国当局から調査を受け、HNAの不透明な株主構成が、再び注目を集めた。北京大学元経済学教授夏業良氏は、HNAは中国共産党高層の隠匿資産であり、江沢民元国家主席の孫の江志成氏も株主の一人だと明かした。
北京大学元教授:HNAは党高級幹部グループの隠れ資産
現在アメリカに滞在中の北京大学の元教授夏業良氏は大紀元に対して、消息筋からの話として、HNAは実は個人のものではなく、中国共産党高級幹部グループの隠れ資産だと述べた。
夏氏によると、一年前にある消息筋からの話では、複数の中国共産党の高官がHNAの株を所持しており、江沢民の孫の江志成氏も株主の一人だという。
また、情報源は中国国内汚職幹部グループの中の一人で、米国をしばしば訪れ、昨年多くの情報を夏氏に伝えたという。江志成氏だけでなく、海南省の省長、省委員書記だった衛留成氏や元海南省省長の劉剣鋒氏も株を持っているという。
夏氏はさらにこう続けた。「実際、当初劉剣鋒氏が海航集団の設立に積極的で、海南省政府も2000万元を出資した。国有企業だったが、その後、金融の大物ソロス氏からも数千万ドルの投資を獲得し、10年余りの変遷をへて、株主の構成が複雑になり、そしていつの間にか民営企業になった。
劉剣鋒氏は江沢民氏の以前の部下。江沢民が1983年6月~1985年6月に電子工業部の部長を担当した時、劉剣鋒は1984年から1988年まで、電子工業部の副部長(次官級)兼紀検組組長を担当していた。
前述の衛留成氏も江沢民派の一人。彼は長期にわたり中国石油採掘大手の中国海洋石油(CNOOC)で理事長やCEOを担当し、石油業界のドンで江沢民派ナンバー2の曾慶紅氏の腹心とも言われる。
謎の株主構成
最近、HNAグループの株主に大きな変化があった。昨年、北京の経歴不詳ビジネスマン貫君氏と米国のBharatBhise氏は二人の持つ30%近い株を突然ニューヨークに拠点を置く海南慈航慈善基金(Hainan Cihang Charity Foundation)に「寄付」した。
同年7月、HNA副理事長兼CEO譚向東氏は英紙フィナンシャル・タイムズの取材を受けた時、貫君氏とBharatBhise氏はHNAのために株を所持するだけだと認めた。つまり、二人は誰かの代理人に過ぎない。
HNAグループには生前遺言書が存在している。12人の株主は「HNAを離れた場合、あるいは在職中に死亡した場合、その保有株式は、HNAが設立した慈善団体、海南省慈航公益基金会(本部は海南省)と海南慈航慈善基金(本部は米ニューヨーク)が所有することになる」との内容が盛り込まれた協議書に署名した。
今年7月初め、HNAの実質ナンバー2、王健会長がフランス旅行中に転落死した。この協議書に基づいて、王氏の持つ約15%の株は中国大陸にある海南省慈航公益基金会へ「寄付」された。これで、二つの基金会の合計保有株が67.25%にもなる。
これについて、夏氏は、「とても不可解なことだ」とし、慈善基金会設立の目的、使命、具体的な運営方法が不明なので、巨額の資金がこのような謎だらけの慈善基金会に移転されれば、ますます不審に思われるだろうと指摘した。
米当局にも追い詰められている
2016年から2017上半期までにおいて、HNAは対米投資で最も多い中国の会社。米政府は最近HNAの不透明な株主構成などに注目し、警戒している。米国の外国投資委員会(CFIUS)2017年7月~10月に、HNAおよびその傘下の会社に少なくとも77の関連質問を出したが、HNAは多くの問題に対して明確に回答することができなかった。
今年1月ロイター通信の報道によると、米国政府はHNAが十分な株主の情報を提供しない限り、いかなる対米投資も許可しないと決定したという。
また、8月8日、米ニューヨーク・ポスト紙によると、CFIUSはこのほどHNAの所有するニューヨーク市マンハッタン3番街850号に位置するビルを調査し始めた。ビルは米国の国家安全問題に関わるとしている。
「HNAグループは個人所有のものなら、米の圧力ですぐ潰(つぶ)れるだろう。上層部の隠匿資産なら、このような利益集団がアメリカで思うがままに利益を得てはいけないという米政権からの警告と見てもよいだろう」と夏氏は分析した。
(翻訳編集・金本)