太平洋南西部に位置する国土面積がわずか21平方キロメートルの島国、ナウルで3日、第49回太平洋諸島フォーラム(PIF)首脳会議が開幕した。ナウルのバロン・ワガ大統領は、フォーラムに参加し高圧的な態度を見せた中国代表団を強く批判した。隣国フィジーのメディア「フィジー・タイムズ」が4日報道した。
報道によると、同フォーラム関連会議「域外国の対話」で、中国側の政府関係者と、会議の議長を務めるナウルのワガ大統領との間で、「激しい言い争いが起きた」後、「会場を後にした」。これに他国の代表者が仰天したという。当時、この関係者は気候変動について発言していた。
AP通信によると、ワガ大統領は、他の国の首脳が発言する番が近づいたため、発言を延々と続ける中国の幹部に対して、発言を止めるよう促した。大統領は「(中国の代表者は)無礼だった。他国の首脳の発言を遅らせてしまった。彼は(首脳ではなく)政府関係者に過ぎなかったのに」、「彼は、大国の役人だから、われわれをいじめてもいいと思ったのかもしれない」と話した。
ナウル政府はフォーラム開幕前に、中国代表団との間ですでに対立が起きていた。台湾と国交関係を持つナウル政府は、中国代表団の外交旅券による入国を拒否していた。
フィジー・タイムズによると、ナウル政府は中国と国交がないとして、中国代表団に個人旅券で入国するよう通告した。ワガ大統領は「ナウルの政府幹部が中国の国際会議に出席する際、個人旅券で入国している」と話し、中国側も同様に一般旅券で入国すべきだと強調した。
中国に近いサモアのツゥイラエパ首相の強い反発を受けて、ワガ大統領は中国代表団の公的書類、「ビザ発給承認書」に入国スタンプを押すことで対応した。
中国はPIFの加盟国ではないが、米国、日本、欧州連合(EU)、インドなど18カ国からなるPIF「域外国の対話」に参加している。
一方、台湾の呉釗燮外交部長(外相)は代表団を率いてナウル入りした。呉部長らはPIF関連会合に参加し、外交関係のある太平洋地域6カ国の首脳や政府関係者と会談する予定。台湾は1993年以降、「台湾/中華民国」の名義で、PIFの「発展パートナー」として、関連会議に出席している。
台湾は近年、ナウルのインフラ整備に多額の経済支援をしてきた。ナウル市政センターを含むフォーラム関連施設の多くは、台湾の出資によって建設された。
PIFの前身は、1971年太平洋地域内の各島国の関係強化を目的に創設された南太平洋フォーラム(SPF)だ。太平洋地域における中国当局の海洋進出を警戒し始めたオーストラリアとニュージーランドの主導で、2000年にPIFに改称された。これ以降、両国は南太平洋の島国への経済支援を強化した。
米国も豪政府らと同様に、太平洋地域の各国における中国の影響力拡大を懸念している。
米ボイス・オブ・アメリカ(VOA)によると、米国務省が3日の声明で、太平洋諸島について「自由で開かれたインド・太平洋戦略」の重要な一部だと強調した。2017会計年度において、米は1000万人の人口を有する太平洋諸島に対して、3億5000万ドル(約389億円)規模の援助を行った。
ライアン・ジンキ米内務長官が今回のPIF「域外国の対話」に出席した。
(翻訳編集・張哲)