トランプ米政権が対中関税制裁の第3弾を検討しているなか、中国の個人消費が落ち込んでいる。中国国内の一部の専門家は、個人消費の低迷を示す「リップスティック効果」現象が、中国で現れているとの見解を示した。
リップスティック効果とは、不況時にリップスティックのような安価なぜいたく品がよく売れるといった消費者行動の傾向を指す。
中国国家統計局の公表によると、18年上半期の社会消費財小売総額は18兆18億元で、前年同期比9.4%増となった。2004年以来の低水準だ。また、物価上昇要因を除いた実質の上半期社会消費財小売総額の伸び率は7.7%にとどまった。1995年以来の最低水準となった。
項目別の消費動向をみると、上半期において消費が最も拡大したのは化粧品だ。同14.2%増となった。伸び率の2位は日用品類で、同12.6%増。石油および石油製品類は同11.9%増と3位になった。
一方、自動車の消費は不振となった。伸び率はわずか同2.7%増。
中国金融情報サイト「金融界」は8月12日、証券会社「海通証券」チーフアナリストの姜超氏の評論記事を掲載した。姜氏は、6月中国の選択的消費の縮小と必需的消費の拡大が、リップスティック効果の現象だと指摘した。
自動車や家電、家具、外食など、生活上に必ずしも必要ではない選択的消費の6月の伸び率はマイナス0.3%で、2002年以来の低水準。一方、食品や日用品などの生活上で必要不可欠な商品、必需的消費の伸び率は11.9%で、14年以来の高水準となった。
また、リップスティック効果の恩恵を受ける中国映画市場の興行収入額では、8月5日に400億元(約6500億円)の大台を突破した。中国メディアは「過去最速だ」とした。
専門家は、現在中国株式市場が低迷している一方で、漬物やインスタントラーメンの生産企業の業績は拡大していると指摘した。
前述の姜氏は、現在元安・株安、当局の住宅価格抑制政策で個人資産が減少したことと、国内経済失速による所得減少の見通しが、消費低迷の主因との見解を示した。
(翻訳編集・張哲)