米ハリウッド映画「X-Men」にも出演した、中国の国民的女優ファン・ビンビン(范冰冰)さんは、脱税行為が浮上した4カ月前から、テレビや映画といったスポットの当たる場所に姿を見せなくなった。最近、中国当局は彼女に対して「社会的責任(CSR)ゼロ」の酷評を下した。SNSでの更新も止まっており、当局により拘束されているとの報道もある。
ビンビンさんは、世界でも最高収入の俳優の一人とされ、歴史ドラマ「武則天」で主役を演じるなど、中国なら誰しもが知る人気女優だ。しかし、今年5月末に中国中央テレビ(CCTV)の元アナウンサーが中国SNS「微博」で、彼女には2重契約問題や巨額の脱税疑惑があると暴露し、スキャンダルとなった。官製メディアによると、税務当局はビンビンさんを取り調べ対象としている。
スキャンダル以後、当局によりメディア出演は統制されたと考えらえている。もっとも最近では、鳳凰ネットなどによると7月1日に、上海のある病院の小児科を訪問し、子供たちと接したと報じた。ビンビンさん本人からは、7月23日付の微博の投稿を最後に、情報発信は行っていない。
最近、北京師範大学の研究機関と中国科学院は共同で、CSR評価リスト「中国社会責任100人論壇」の2017年から2018年まで、映画やテレビ界の俳優、歌手、そのほかエンターテイナーに関する評価を発表した。ビンビンさんに対しては100点満点中0ポイントが付けられた。評価基準は、「スターとしての社会的なふるまい」「テレビや映画での活躍」「中核となるエネルギー」「様々な表現力」など。
官製メディア・中国日報は9月11日、「中国スターCSR報告で2人がゼロ点」と題した記事で、100人中100位のビンビンさんの最低評価を強調した。
この100人リストには、台湾出身の女優リン・チーリン(林志玲)さんが8位で61ポイント、ハリウッド俳優ジャッキー・チェン(成龍)さんが42位で38ポイント、女優チャン・ツィイー(章子怡)さんが48位で36ポイントとなっている。
9月初旬、官製メディア証券日報は、ビンビンさんは「調査対象であり、法的な決定を受け入れた」と報じた。さらに、脱税容疑は「氷山の一角」であり「さらなる違法な融資や腐敗に関わった疑いがある。最悪の場合、刑罰が下る」と書いた。しかし、この報道は数時間後に取り下げられ、閲覧できなくなった。
(翻訳編集・佐渡道世)