中国人観光客をめぐる騒動がネットで注目を集めている。9月2日、スウェーデンのストックホルム市内で、現地警察の対応に不満を抱く中国人観光客3人が路上で泣いたり叫んだりなどして騒ぎを起こした。中国大使館は「人権無視」の猛批判を展開している。市の検察局長は、警察による無秩序な行為をする人物への対応とコメントを出している。
中国から来た3人の親子は、予定時間より十数時間前に宿泊予定のホステルに入り、ロビーで就寝しようとした。ホステル側は追加料金を求めたが、3人は拒んだ。ホステルからの通報を受け、駆け付けた警察数人が3人を追い出した。
警察がホステルから3人を追い出す様子を捉えた動画がネットで拡散されている。警察官やホステル側の対応に不満を爆発させ、「ひどい扱いを受けた」と演出する3人の様子が映っている。
動画には、暴力を受けていないが腹ばいになったままの父親、わざと自分から倒れこみ、女性警官が暴力をふるったかのように演技する息子、「殺人だ」「助けてくれ」と座り込みながら叫び声をあげている母親の姿が映っている。
中国のインターネット上では、「中国人観光客がスウェーデン警察にいじめられた」と報じた動画が17日までに1億3000万回再生を記録している。一部のネットユーザからは「(在中国)スウェーデン大使館を放火しよう」など過激な意見も出ている。
動画を閲覧したあるネットユーザは、ルールを破ったにもかかわらず、3人が大げさな「犠牲者のふるまい」をするのは、家族がスウェーデン側への賠償請求の正当性を高めるためではないかと指摘した。
在スウェーデン中国大使館は16日になってから「中国人の命を危険に晒(さら)し、基本的人権を侵害した」と声明を発表し、スウェーデン側の対応を批判した。
さらに、中国外交部(外務省)の報道官も17日に、警察が3人を追い出したことについて「外交ルールや国際的な判例にそぐわない」と糾弾した。
ストックホルムの検察庁メッツ・エリクソン長官は、現地紙アフトン・ブローデッドの取材に対して、警察の対応は「何ら違法性はない」適切な判断だと述べた。同氏はまた、警察官は市街地で無秩序な行為をする人物に対して、今回のような対応をしていると付け加えた。
(編集・佐渡道世)