最近の環境調査で、インド洋に面する東アフリカのモザンビークでは中国鉱業企業が砂を大量に採掘しているため、洪水が発生しやすくなっていることが明らかになった。
人権団体アムネスティ・インターナショナルが2018年3月に発表した調査報告によると、モザンビーク北部の村ナゴンハでは、2015年から突発的な洪水が4回起きたという。洪水で48軒の住宅が流され、300人が住居を失った。
人口約1300人の小さな村だが、70年間同地域に住む高齢者たちも記憶にない規模の洪水だと驚いている。現地住民は土砂採掘を続ける中国の海域鉱山会社に、環境を破壊した損害の賠償を求めている。
「中国側に損失を埋めて欲しい。彼らのせいで湿地に水が流れなくなった」と所有する漁船が損傷したと訴える現地漁民のトーラさんはアムネスティの調べに応じた。
別の住民ローマさんは「私の家は川が今、流れている場所にありました」と話す。ローマさんは洪水で住居を失った。「家が水に押し流されていくのを見て泣きました」。
報告書によると、海域鉱山会社は2010年に海南省で設立され、2011年にモザンビークに進出し、現地の採掘業社と合弁会社を設立した。ナゴンハ村の砂にはセメント、モルタル、タイル、レンガ、ガラス、セラミックなどを製造するための多様な鉱物が含まれている。
内戦が20年続いた国内で、インフラの整備が遅れていた。モザンビーク政府は中国企業による採掘を「経済成長のけん引役」として迎え、国の天然資源を売却した。
モザンビーク政府の思惑とは異なり、中国の採掘事業は現地の雇用やインフラ整備に結びつかなかった。2011年から始まった採掘活動はおよそ28万平方メートルにおよび、一部の砂丘と緑地帯が取り除かれた。工業廃棄物は湿地に投棄され、主要な湖2つが埋め立てられ消失した。湖から海への流れも姿を消した。
アムネスティは2010年と2014年の衛星写真を比べたところ、採掘で水の流れが変化したことが分かった。採掘活動が原因で洪水発生の確率を高めたと報告書は専門家の意見として指摘した。
こうした環境変化について、海域鉱山会社は自然現象に過ぎないと、住居を失った人々への賠償を拒んでいる。中国政府はアムネスティの報告書の内容を否定し「国際NGO(非政府組織)はいつも反中国に傾く」とコメントした。
米国の環境ジャーナリストのビンス・バイザー(Vince Beiser)氏は9月6日、ワシントンで開かれた環境フォーラムで、地球環境と生態を支える土砂が、危機的な状況に直面していると述べた。同氏は特に、中国の工業が事態を深刻化させていると指摘した。
中国では建設プロジェクトが増加し、世界のコンクリート最大消費国となっている。その原材料である砂は欠かせない材料だ。バイザー氏によると、中国は2016年に78億トンの工業用土砂を使用し、向こう数年で毎年100億トンを超えると予想している。
(編集・佐渡道世)