「私は無実だ」長年中国の航空宇宙事業に貢献してきた科学者、熊輝豊さん(80)はここ数年、中国当局による不当な拘束に対して上訴を続けてきた。
当局に弾圧されている気功グループ、法輪功学習者である熊さんは、76歳だった2014年8月に拘束され、翌年12月に7年と6カ月の懲役刑を言い渡された。現在天津市の濱海監獄に拘禁されている。
裁判で弁護士は、法輪功学習者は社会にいかなる危害ももたらしていないと無罪を主張した。
法輪功情報を発信する「明慧網」はこのほど、長期間の拘束と高齢のため、熊さんがほぼ寝たきりの状態だと報道した。家族によると、歯をすべて失った熊さんは現在、食事の代わりに水に浸してふやけたビスケットを食べているという。
熊さんは1960年代から、中国当局の宇宙開発プロジェクトに参加してきた。中国国家航天局傘下の国営企業、中国航天科技集団公司(CASC)8358研究所の副所長や中国宇航学会(CSA)の理事などを歴任した。1985年当局の「国家科学技術進歩奨」三等奨や、93年中国国内科学研究者を対象にした「光華科技基金奨」二等奨など、中国当局や科学界から数々の賞を受賞した。
1995年から法輪功を習い始めた熊さんは身体が健康になり、科学研究に今まで以上に励んでいた。また、貧困地域に住む22人の子どもに経済支援をしていた。
1999年、当時の江沢民政権が法輪功学習者への弾圧政策を開始した。2001年、当時63歳の熊さんは2年6カ月の強制労働教育を言い渡された。天津市双口労働教育所に拘禁された熊さんは、針を爪と指の間に差し込まれるなどの拷問を受けた。また、拘束されている間、妻の劉元傑さんと息子は当局の洗脳施設に連行された。
2008年北京オリンピック開催前、天津市南開区警察当局は、熊さんの家に押し入り、夫婦を拘束した。
妻の劉さんは、熊さんが投獄中の2015年3月に亡くなった。劉さんも同8358研究所の高級エンジニアで、長年当局の巡航ミサイル開発・研究に携わってきた。当局の法輪功弾圧政策が始まる前までは、中国国家航天局は劉さんの功績を讃えるため、多くの賞を与えた。
法輪功は、1992年に中国で李洪志氏によって伝え出され、顕著な病気治療の効果で急速に普及した。弾圧されるまでは1億人の学習者がいたとされる。当時の江沢民国家主席は、共産党員を超える法輪功学習者の存在に脅威を感じ、1999年7月に弾圧に踏み切った。現在、確認されただけですでに4000人以上が拷問など非人道的な扱いで死亡した。
(翻訳編集・張哲)