日本、米国、インドやオーストラリアの4カ国は11月13日に、シンガポールで開催予定の第13回東南アジア諸国連合(ASEAN)首脳会議を控え、インド太平洋地域における海洋安全保障と経済開発プロジェクトを推進させる構えだ。
安倍首相が提唱した「自由で開かれた秩序に基づく」インド太平洋は、地域インフラ発展における4カ国の協力構想の創設戦略。同海域における中国進出を念頭にしており、各国安全保障政策のみならず軍事戦略にも影響している。
マイク・ペンス米副大統領は11月10日、米アラスカで記者団に対して、インド太平洋地域における中国共産党政府による存在感が高まる中、米国がインド太平洋地域で最大600億ドル(約6兆8000億円)のインフラ整備支援を行う計画があると述べた。
ホワイトハウスによると、トランプ大統領はASEANおよびアジア太平洋経済協力(APEC)首脳会議の出席を見送り、ペンス副大統領が代理出席する。
ペンス副大統領は11日に、インド太平洋地域に対する米国の関与は「かつてないほど強い」と述べ、大統領の首脳会議の欠席はアジア軽視では「全くない」と強調した。
インド紙タイムズ・オブ・インディアによると、米国の国防総省上級幹部はインド太平洋司令部が4カ国と協調的な安全保障の枠組みを構築することに積極的だという。
同紙によると米国防総省高官は、南シナ海の南沙諸島の軍事拠点化を進める中国について、「排他的で独占的な」政権が「強引な戦略で国際的なルールを破壊しようとしている」と批判した。
インドは日米のインド太平洋戦略の軍事発展化に慎重な姿勢を示している。インド国務院アリス・ウェルス高官は同紙に対し「4カ国は互恵的な計画として協力する構想を共有する。海上安全保障の促進のみならず、海洋分野の開発や経済プロジェクトも含まれる」と述べた。
しかし、ウェルス高官は「避けられない事態に応じて」軍事戦略への進展は排除しなかった。
米国とインドは毎年2カ国軍事演習を行っている。来年はベンガル湾で水陸両用訓練を行う予定。日本とインドは11月1日から2週間、インド北部ミゾラムで初めてとなる二国間軍事訓練「ダーマ・ガーディアン2018」を行っている。
11月9日、ワシントンで行われた米中外交安全保障対話で、米国は中国に対して、南シナ海に設置されたミサイルシステムを撤去するよう直接要求した。国務省は声明で、インド太平洋において「いかなる国も脅迫や恫喝で問題を解決するべきではないとの考えを確認した」と述べた。
ポンペオ米国務長官は米中対話後の記者会見で、「中国の南シナ海での活動と軍事拠点化に引き続き注意を払う。また、過去に中国が締結した条件を履行するよう促していく」と述べた。
読売新聞10日付によると、同紙が入手したというASEAN議長声明草案には、中国を念頭に「緊張を高め、平和を損ないかねない」単独行動を批判する文言を入れる方向で調整している。
(翻訳編集・佐渡道世)