中国では11月11日は「独身の日(双11)」と呼ばれ、大型ネットショッピングデーとなっている。中国の各ECサイトの取引総額は5.1兆円で、日本の年間電子商取引(EC)規模に匹敵する取引額だ。
中国の統計研究企業・星図数据(Syntum)は大手EC4サイトの独身の日セールの取引総額を発表している。天猫が2135億元(約3.5兆円)、京東が543億元(約8800億円)、蘇寧が148億元(約2400億円)、アマゾンが72億元(約1200億円)で、合計3143億元(約5.1兆円)に達した。京東は自社発表の数値は大きく異なり1598億元(約2.6兆円)としている。
パスワード入力よりも早い手続きを可能にした、顔や指紋など生体認証で決済処理は取引を後押ししている。アリババによると、同社の電子決済システム・アリペイは独身の日セールのピーク値で毎秒17.8億回の処理を行っており、その6割が生体認証だという。
前夜に価格つり上げ、セール当日に引き下げて 値下げ幅を偽造
報道によると、京東に出品されているあるブランド寝具は通常価格229元のところ、独身の日セールの直前に379元につり上げ、セール期間中は再び249元に引き下げて「35%OFF」をうたっていた。
このように、セール幅を強調するために、淘宝や京東などECサイトの出店店舗はセール直前に製品を通常価格から2倍近く値をつり上げ、セール日に再び引き下げるという操作が行われている。
中国メディアの記者は11月11日の前週までに、淘宝と京東からそれぞれテレビや蒸し器など50の製品をカートに入れた。セール前日の10日21時頃、この100点すべての価格が上昇した。セール日には、それぞれ10点ほどの製品の価格が下がった。
こうした問題は昨年から指摘されていた。中国消費者協会の報告によると、2017年の独身の日でセール品とうたわれた製品のうち8割は、通常価格よりも値引きされていなかったという。
報告によると、製品の78.1%は11月11日前夜に価格が引き上げられ、翌11日に大幅に低い値をつけて、値引き幅を誇張させていた。しかも、元値よりも高い価格で売られているものも含まれる。
製品を投げる、踏みつける 粗暴な物流
荷物の粗暴な扱いもニュースになっている。新京報は12日、北京に近い地方都市・石家庄にある大手運送会社・中通(ZTO)物流センター内に潜入。作業員たちが荷物を投げたり、雑多に積み上げた製品を踏んだり蹴ったりする様子を映像に収めた。
映像は、作業員は荷物の山を踏むたびに「バキバキ」と損壊する音を収めている。一両日中こうした作業は行われている模様だが、誰かが大切に扱うよう注意する様子はない。記者は、袋が破れ破損した電子製品を映した。
熱狂的な独身の日セールには、偽物製品の横行も促している。売り出し品のなかには特にファッション、靴、高級時計などの分野で、実際の高級欧米メーカの類似品やコピー製品が散見する。たとえば、スポーツ用品はAdidasを模倣したAbabis、ファッションはCalvin KleinはCaiwen Kani、子ども向け玩具には映画シリーズStar Warsの類似品Star Wnrsなど。
(編集・佐渡道世)