カナダ議会で10日、強制臓器摘出・臓器売買の撲滅を目的とする刑法改正法と人身売買難民法の法案である「S-240法案」第二読会の2回審議が行われた。同法案は10月25日、上院で満場一致で可決した。現在、下院での審議が行われている。
S-240法案では、カナダの国民が海外で、死者の事前同意なしの臓器移植を受けた場合、刑事犯罪と見なされる。また、違法な臓器売買に関わった外国人に対して、カナダへの移民を許可せず、また難民として受け入れることもできないと定める。
法案提出者であるガーネット・ジェニュイス(Garnett Genuis)下院議員(保守党)は10日の審議において、法案の早期立法を呼び掛けた。「カナダは、死者本人の事前同意を得ていない臓器移植と臓器摘出を認めてはいけない。この基本的な人権問題において、毅然とした態度を示さなければならない」
下院外交委員会の国際人権小委員会の副委員長を務めるシェリル・ハードキャッスル(Cheryl Hardcastle)議員(新民主党)によると、同国際人権小委員会は過去、複数回中国当局による強制臓器摘出を調査し、報告書を2回提出したことがある。議員は、中国の臓器摘出・売買産業は「明らかに、法輪功学習者への弾圧をもとに拡大してきた」と批判した。「中国当局は毎年約1万回の臓器移植が行われたと公表している。実際には、この数は6万から10万回にのぼると推測する」
ハードキャッスル議員は、新民主党はS-240法案の成立を支持すると示し、また超党派での協力を強め、法案の早期成立を目指すとした。法案の成立によって、「カナダ人を、知らないうちにこの犯罪の加担者になることから守ることができる」
保守党のレン・ウェバー(Len Webber)議員によると、S-240法案は、政府による臓器移植ツーリズム業者への調査を規定する。「違法者に最高14年間の禁錮刑が言い渡される」
中国当局に弾圧を受ける伝統気功・法輪功の学習者は11月20日、下院での第1回審議後に行われた記者会見に出席した。
中国国内で迫害されて、カナダに亡命した学習者の何立志さんは、国内で受けた拷問について、「中国当局者はわれわれを人間として扱っていない。学習者を肉体から消滅しようとした」と述べた。
北京出身の甘娜さんは2004年にカナダに亡命した。甘さんは、国内の強制労働教育所、精神病院で迫害・拷問を受けた。甘さんによると、拘束中、甘さんと他の学習者は数回、警察当局専用の病院に連れて行かれ、目や血液の検査、心電図検査、尿検査など詳しい健康診断を受けた。「当局が、移植手術を受ける患者との組織適合性を調べていたのではないか」
長年、中国当局による強制臓器摘出の調査に注力したカナダ国務省の元アジア太平洋担当大臣デービッド・キルガー氏は大紀元の取材に応じ、「S-240法案の早期成立を望んでいる」と述べた。
(記者・梁耀/方慧、翻訳編集・張哲)