中国の習近平国家主席(共産党総書記)は18日、改革開放40周年大会で演説し、改革開放政策を継続すると述べた。1時間半に及ぶ演説のなか、習主席は「改革で、変えるべきもの、また変えられるものをわれわれは決意をもって変えていく。しかし、変えてはいけない部分、変えられない部分を決して変えない」と発言した。「変えてはいけない部分とは何か」について憶測が飛び交った。
産業経済研究家で企業経営者の胡力任氏は大紀元で、「『変えてはいけない部分』は社会主義専制を歩むことと一党専制を指しているだろう」と述べた。
中国当局が改革開放40周年を大々的に祝ったことに対して、中国世論は改革開放に悲観的で、「改革開放はすでに終わった」との見方が広がっている。
豪シドニー工科大学の馮崇義教授は、「改革開放について、自由派や改革派学者らの間には、『すでに終焉した』という共通認識がある」と示した。
米ラジオ・フリー・アジア(RFA)18日付によると、歴史学者の章立凡氏は「改革開放はもはや失敗している。これを言い出せる人がいないだけだ」と話した。
章氏によれば、改革開放提唱者の鄧小平は「経済体制の改革だけを行い、政治体制を変えなければ、経済体制改革自体も行き詰まるだろう」と発言していたという。
中国当局は長年、政治体制改革の必要性を主張した。しかし、改革は行政体制改革に限り、政権を担う与党(中国共産党)への監督は言及されなかったうえ、真の選挙も実施されていない。
中国国内紙・華夏時報の元評論部主任の莫之許氏は、1989年の「天安門事件」後、改革開放が中断されたと指摘した。天安門事件で、中国共産党上層部で改革派が失脚した。これ以降、中国指導部はより保守的になり、政治改革を推進することはなかった。
1992年鄧小平の「南巡講話」で、国有企業の株式会社化、株・債券市場の創立、国有銀行の株式上場などが行われた。2001年中国が世界貿易機関(WTO)に加盟した。現在中国は世界第2の経済体になったが、中国当局は近年、企業に対する党の統治をますます強めている。
在米中国経済学者の何清漣氏は、現在のいわゆる改革には将来性がないとの見方を示した。「政治改革なき経済改革は実質、中国共産党による経済への支配を強めただけだ」
中国当局内部では、何清漣氏と同様な意見を持つ人がいる。ロイター通信(18日付)によると、中国当局のアドバイザーは、習主席の演説は「過去の改革は政治に触れなかった」とし、「政治変革なき経済改革では袋小路に入るだけだ」と述べた。
いっぽう、18日の中国株式市場では、主要株価指数の上海総合終値は前日比0.82%安の2576.65ポイントを付けた。11月29日以来の安値となった。深セン市場の深セン成分指数は同0.82%下落した。
習近平国家主席が改革開放40周年大会での演説で、今後の改革開放について具体策を提示しなかったため、投資家心理を冷やしたことが原因だとみられる。
(翻訳編集・張哲)